Z432Rは約10台生産されていた
まだまだトピックスがある。例えばホイールは、1本5万円もするといわれたマグネシウムホイール(鋳物)も用意されていた。新車価格はベース車が84万円だったのに対し、Z432は185万円とかなり高価だった! 外観上は、縦の2本出しマフラーとエンブレムぐらいしか違いがなかったので、そこは物足りないともいわれていた。
そうしたことも影響し、「排出ガス規制対策」を理由に1973年9月に生産は打ち切られるまで、Z432は419台しか生産されていない……。ちなみに、レースに出場するためのベース車として、ナンバーのとれない「Z432R」も10台ほど生産されている。
これは、FRPのボンネットフード、アクリル製ウインドウ(リヤ/サイド)などで軽量化し、燃料タンクも耐久レースを見据えて100Lに増量。サスペンションも強化され、432Rのバネレートは、フロントが標準の1.8kg/mmに対し5.5kg/mm、リヤが2.07kg/mmに対し5.57kg/mmにアップさせ、ダンパーもハードなものに変更した。ラジオやヒーターもついていないホモロゲバージョンだったが、レースでも1971年からは、L24エンジンを積んだ240Zが主力となってサーキットから姿を消してしまった。
しかしS20エンジンの「4バルブ・3キャブレター・2カムシャフト」から車名をとった『Z432』が日産最速の特別なクルマだったことには変わりがない。
今年は新型Zも登場するし、スーパーGTでも、GT-Rに変わって新型Zがワークスマシンとして参戦するので、2022年はZイヤーになるはず。そのルーツともいえるZ432の存在にも、ふたたび光が当たるに違いない。