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「NOS」と「ニトロ」は別モノ!? スイッチひとつでロケットダッシュする仕組みを簡単に解説します

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

スイッチを押すだけで「凄まじい加速!」

 ココぞという勝負のタイミングでボタンをひと押しすると、まるでロケットのようにマシンが急加速してライバルを抜き去る。マンガや映画ではお約束のようなシーン、果たしてどんなメカニズムなのだろうか。

 強烈な加速は「NOS」と呼ばれるチューニングによるもので、ナイトラス・オキサイド・システムを略した名称だ。エンジン内部に大気中の1.5倍ともいわれる酸素を含む亜酸化窒素を噴射し、ガソリンの燃焼を促進させシートが背中に押し付けられるような加速力を生み出す。

 酸素が1.5倍ということは過給器で1.5㎏のブーストをかけたとの同じ効果があり、かつ亜酸化窒素は保存されている状態が-170℃で気化するときも-60℃と非常に温度が低く、噴射する際には吸気温度を大きく下げ空気の圧縮率を約1.1倍に高くすることが可能。

 元々は第二次世界大戦でドイツ軍が航空機用として開発したシステムで、チューニングカーでよく見かける青いボンベの「NOS」と呼ばれる製品は、ホーリー・パフォーマンス・プロダクツというメーカーの登録商標だ。

アメリカでは昔からメジャーな手法

 アメリカではドラッグレースを筆頭に昔からメジャーな手法だったが、日本でも2001年ごろから急激に知名度を高めていくことになる。最大の理由は映画「ワイルド・スピード」の公開だろう。なお劇中で使われたのは「NXシステム」という他社の製品で、他にも同じく亜酸化窒素を噴射する仕組みの製品はいくつかある。NOSを使ったドラッグレースのスタート

 ちなみにコストはメーカーによって多少の差はあるが、20万円くらいとコストパフォーマンスは決して悪くない。ただしボンベに充填した亜酸化窒素を使い切ったら終わりで、レースのように周回数を重ねるカテゴリーには不向きといえる。

 再充填も近所のガソリンスタンドやホームセンターなどで気軽にとはいかず、スイッチを押したときの凄まじい加速を制御するドライバーのスキルも必要だ。さらにNOSの有無でマシンの戦闘力が大きく変わりすぎるため、レギュレーションで使用できないよう定めている競技も多い。そのため日本では今ひとつメジャーになり切れていないのが現状。

NOSとニトロは別物だった!

 なおNOSのようなシステムを「ニトロ」と呼ぶ人もいるが、これはナイトラス(Nitrous)の誤読が発端だと思われる。ニトロと聞いて思い浮かべるのはダイナマイトの原料である「ニトログリセリン」で、爆発性があることからパワーアップにつながるナイトラスと同一視されたのだろう。

 ニトログリセリンとナイトラス・オキサイドはまったくの別物で、NOSを始めとする同様の商品に爆発するような危険性はないのでご安心を。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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