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馬力は「グロス」と「ネット」でなにが違う? イギリスと仏でも違う「馬力」の世界とは

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

グロス馬力とはエンジン単体の性能を表していた

 クルマの動力性能の表記について、現在では、kW(キロ・ワット)と馬力の併記がなされているが、かつては、グロスとネットという計測値の違いを表記した時代があった。旧車の場合は、併記されていなくてもエンジン性能はグロス表記だった。

 グロス馬力とは、エンジン単体の性能を表す。しかしクルマに搭載して使われるときには、補器が装備され、その損失分は駆動輪に伝わらない。そこで、完成車として実際に搭載された際のエンジン出力をネット馬力とした。

輸入車と国産車との馬力値に差があることからネットで表記

 1980年代に入り、輸入車の国内販売が次第に盛んになると、国産車との馬力値に差があることが、非関税障壁に当たるとされた。グロス表記の日本車のエンジン性能が、輸入車より優れているように見えるからだ。そこで1980年代半ばから、グロス馬力とネット馬力が併記されるようになった。やがてネット馬力表示が一般的になるに従い、あえてグロスとネットを併記する必要がなくなり、今日ではネット表記で統一されている。

 併記が始められた当初は、たとえば100ps(グロス)あると思ったエンジンが低い値になってしまうため、諸元表を見てずいぶん失望させられたものだ。一方、輸入車は馬力表示が小さくても、それなりによく走ることをようやく理解できたのであった。

英国と仏で違う馬力

 ちなみに、馬力という数値自体も、英国の馬力とフランスの馬力で値が異なる。

 馬力の原点は、英国のジェームズ・ワットが蒸気機関を発明したことに始まる。それまで動力の中心だった馬が、180ポンド(約80kg)の重さの荷物を1時間かけて約1万1千フィート(約3.3km)移動させる能力を基準に、それを1秒間での仕事として単位化したのが1馬力だ。ホース・パワーの言い方から、HPと記される。

 しかし上記の説明で単位の注釈を入れたように、フィートやポンドという単位は、日本では馴染まない。メートル法を使うフランスも同様で、これをメートル法に換算したのがフランス馬力と呼ばれる表記だ。これはPSと記される。そして日本でもPSで馬力は表される。

 HPからPSに換算する際、単位が変わることによる誤差から、PSのほうが若干大きめの数値で表される。

 ところで、国際的に動力性能を表す単位はワット(W)と定められている。日本でも1999年に施行された新たな計量法によって、エンジン出力もkWで表すことになった。とはいえ、PSに比べkWは単位の換算によって小さい値として示され、また実感がわきにくくもあり、今日なおPSでの馬力値も併記されている。電気自動車(EV)が市販されるようになり、モーター出力はkWで示されるので、ワットへの単位の統一はエンジンとの比較がしやすくなったともいえる。

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