知られざるル・マンの舞台裏をレポート
ドイツ在住でモータースポーツの取材を精力的に行う池ノ内みどりさん。2025年もヨーロッパ3大耐久レースと言われる、伝統のル・マン24時間レースを取材しています。決勝だけでなく練習走行や多彩なイベントがあり多忙を極めています。さらにコースサイドへ向かう道は舗装されておらず、まるで森の中をハイキングするかのよう。知られざる取材現場の舞台裏をレポートします。
森を抜けてコースサイドへ
FIA 世界耐久選手権(WEC)2025 第4戦 ル・マン24時間レース決勝前には、数多くのイベントが開催されます。そのなかにはフリープラクティス、いわゆる練習走行があり、3時間のセッションもあります。メディアシャトルのバス停からバンに乗ってコースサイド近くの停留所まで連れて行っていただき、そこからは徒歩で移動します。
普段はおそらく住民や工事・林業関係者しか通らないような舗装されていない道を通り、ハイキングのような森の中をひたすら歩きます。
コースサイドのガードレールの内側で撮影するのですが、どのマシンもとんでもなく速いのです。毎年、レースが終わった翌日にコースとなった公道を復習しながら愛車で走るのですが、意外と狭い箇所もあり、複数台で横並びになってフルスロットルで走るドライバーたちの強い精神力に本当に驚きます。ル・マン24時間レースでの最高速度は、昔のグループCのマシン時代の400km/hということは安全上の理由でなくなりましたが、ストレートの多いル・マンではアクセルを踏みっぱなしの状態が多く続くのが想像できます。

「いまのハイパーカーはたったの242km/h⁉」と感じる方もいるかもしれませんが、視覚的なスピード感は新幹線以上に速く感じます。私自身、アウトバーンでプロのレーシングドライバーである友人の助手席に乗せてもらい、それ以上のスピードを体感したことがありますが、ロングストレートを間近で駆け抜けるハイパーカーを目の当たりにすると、同じ速度でもまったくの別物に感じるのです。まったく不思議なものですね。
レースウィークを乗り切る、フォトグラファーの靴選び事情
森のコースを歩いていると、さまざまな動物の糞が落ちています。夜に撮影しに出かけたフォトグラファーの中には、野生動物と遭遇した人もいるかもしれません。実際、2025年のレース中には野生動物との衝突事故が発生し、リタイアに追い込まれたチームもありました。
白樺や松の木のほか、きれいな野生の花も咲いており、休日にはハイキングをする方もいるのかと想像します。びっくりするくらいに大きな松ぼっくりが落ちていたり、スーパーマーケットでは売っていないようなキノコを見つけたりするので、そんな素朴な発見も楽しんでいます。レーシングカーの爆音のエキゾーストノートをBGMに、カメラを担いで汗だくでハイキングをするのも、それはそれで楽しいものです。
ただ、普通のスニーカーを履いていたので疲労度が高かったように思います。そういえば、ハイキングシューズを履いているフォトグラファーを多く見かけるのは、こんな道を歩くときのためだったのか⋯⋯と気付きました。スポーツ用品店に行った際には、ハイキングシューズを試し履きしてみたいと思いました。



















































