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ル・マン24時間レースで出会ったフランス人は筋金入りの日本レースファン! Tシャツに詰まった熱いレース愛【みどり独乙通信】

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TEXT: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)  PHOTO: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)

  • バーバラさんの素敵なお家の2階の階段を上がったところ。訪れた街の絵が飾られています
  • 何部屋か貸しているバーバラさんのお宅。今回は屋根裏部屋でした
  • バーバラさん宅のお庭で飼われている鶏。毎日卵が食べ放題
  • 雨が1カ月以上も降らず、ほとんどのバラは枯れて綺麗に咲かなかったそうです
  • バーバラさん宅のお庭には数種類の果物の木があります
  • お天気の良い日はお庭でご飯を食べました
  • 日本を訪れた際にとても気に入ったウォッシュレット。 フランスで同じ物は非常に高価らしく、妥協策がこの手動シャワーウォッシュレット。私には使う勇気がありません
  • 押しすぎるととんでもない事になりそうなバーバラさん宅のウォッシュレット
  • フランスメディアの彼は2日目は日産のTシャツで登場
  • SATOと描かれたユニフォームを着てじっと私を見つめるこのフランス人メディア。毎日私を楽しませてくれました
  • 3日目はスーパーGTのKeePerを着てきたフランスメディアの方
  • ベルギー人のジャーナリスト・マルティンも負けていません。1991年のル・マン総合優勝のマツダTシャツで
  • 土曜日の決勝日にはARTAのTシャツで登場したフランス人
  • 日本チームTシャツを着てご機嫌なふたりですが、まったくの他人です

Tシャツが語る、日本レースへの熱い想い

ドイツ在住でモータースポーツの取材を精力的に行う池ノ内みどりさん。2025年もヨーロッパ3大耐久レースと言われる、伝統のル・マン24時間レースを取材しています。そんななか、メディアセンターで視線を送ってきたのは、とある“日本レース愛”にあふれるフランス人でした。

毎年宿泊しているかわいい一軒家

世界最大の24時間レース、FIA 世界耐久選手権(WEC)2025 第4戦 ル・マン24時間レースへ取材に行っていました。毎年同じだと思いながらも、レースウィークがはじまる前の公開車検や公式テストから訪れてしまいます。数日早く行っても行かなくても、さほど大きな金額の差がありませんので、「まぁいいか」と思ってしまいます。ル・マンはけっこう遠いので、行くだけでもくたびれます。ですので、少し長く滞在することで少しずつ体力を回復しながら決勝レースに挑むという感じでしょうか。

私がここ最近、毎年宿泊させていただいているのは、バーバラさんというフランス人の独身女性のかわいらしい一軒家です。古い一軒家を購入して、お友達やボーイフレンドらと少しずつ改修やリノベーションをされたそうです。元の持ち主はご高齢の女性だったらしく古いままにお住まいだったそうで、1960年代〜1970年代の素敵な部分は残しているそうです。

毎年お庭にはさまざまな種類のキレイなバラが咲いているのですが、2025年は晴れ続きで多くの植物がうまく育たなかったよう。今回の滞在中には少ししか鑑賞できなかったのが残念です。京都の町家に少し構造が似ていて、お家自体の間口は広くなく隣家とくっついている感じですが、うなぎの寝床と言いましょうか、奥行きが長い敷地で中庭がとても広いのです。そこには物干し場や家庭菜園、鶏も飼っていて、毎日産みたて卵が食べ放題なのです。

私は毎日サーキットへ作って行くお弁当用に毎年手のひらサイズのミニ炊飯器を持参しています。2025年こそは卵かけご飯を食べたかったのですが、バタバタしているうちにその機会を失ってしまいました。来年こそは! しかし、バーバラさんがそれを見たらビックリされるでしょうね。

レース愛があふれる日替わりコレクション

コロナで中断してしまいましたが、バーバラさんの趣味は世界を旅すること。私が宿泊した2階の屋根裏部屋には、彼女が訪れた街の絵が飾られていてとても素敵。また準備が整い次第、旅を再開したいそうです。2019年には日本へも訪れて、私の苦手な納豆も大好きとのこと。日本のウォッシュレットに感動して、フランスご自宅でも装着したかったそうですが、高額だったので、ウォッシュレットというか、お尻シャワーのようなものを取り付けたそうです。

ところで、ル・マン24時間レースのメディアセンターで日本人の私を意識してチラチラと見る方が……。ふと視線を上げると、なんと元F1ドライバーで先日インディ500に再挑戦した佐藤琢磨選手のユニフォーム姿の方が私の目の前に立っているではありませんか。

フランス人のメディアの方で、このル・マン24時間レースの少し前にあったインディ500を応援されたのはもちろんのこと、その前に佐藤選手のご子息・佐藤凛太郎選手が参戦中のフランスF4選手権のポールリカールにも応援に行ったそうです。そこにいらしていた佐藤琢磨選手ご本人と直接お話ができて、その気さくなお人柄にさらにファンになったそうです。

この方のコレクションはこれだけではありませんでした。翌日には日産、その翌日にはスーパーGTのセルモのKeePer、最後の決勝日には同じくスーパーGTのARTAという装いを披露してくださいました。しかし、彼からは「今日はこれを着て来たよ!」と教えてるわけではなく、いつものように私の席の近くからじーっと視線を送り、私が気付くのを待っているようでした(笑)。

KeePerのTシャツを着て来られた日、友人で日本の懐メロが大好きなベルギー人・マルティンが1991年にル・マンで総合優勝したマツダ「787B」のTシャツを着て来ていました。なんだか面白いことになって、ふたりはご機嫌でした。日本のレースや日本のチームのファンでいてくれることに、とても嬉しく思いました。

彼は2024年にスーパーGTの取材で初来日し、Tシャツは富士スピードウェイへ行った際にショップで購入したとのこと。初めて観るスーパーGTにとても感動し、数多くのファンで溢れるサーキットや熱心な応援、迫力あるレースに、すっかりファンになったそうです。この方とは初めてル・マンでお会いしたのですが、来年にはどんなサプライズをしてくださるのか、いまからとても楽しみにしています。

>>>ドイツ在住池ノ内みどりさんのクルマにまつわるコラムはこちら

 

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  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • ドイツ ミュンヘン市在住 フリーライター&コーディネーター。東京で学生生活を謳歌した後にオーストリアのザルツブルグで再び学生生活を謳歌し、なんとか卒業。三度目の学生生活を謳歌しにミュンヘン大学入学を機にドイツへ。ミュンヘン大学在学中の現地広告代理店でのアルバイトがきっかけで、モータースポーツに魅せられて大学を中退し、モータースポーツ業界へ飛び込む。愛車のBMW M240iカブリオレを駆り、ヨーロッパ各国のサーキットへ取材に向かう。趣味はアルプスの峠越えドライブと蚤の市めぐり。好きなサーキットはニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャン。ヨーロッパ生活はもう少しで30年。
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