最終戦まで6チームにチャンスがあったGT500はTOM’S王座獲得
2025年スーパーGT第8戦(最終戦)「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」の決勝レースが11月2日、栃木県モビリティリゾートもてぎで開催されました。63周の戦いを制したのは、GT500クラスは1号車au TOM’S GR Supraでした。最終戦のレポートをお届けします。
(motorsport.comの記事をもとに再編集しています)
STANLEYが驚愕のタイヤ無交換作戦に出たのだが……
「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」は、サクセスウエイトなしのガチンコ勝負が展開されるシリーズ最終戦だ。GT500クラスは6チーム、GT300クラスは9チームのドライバーにチャンピオンの権利が残る激戦模様のなか、決勝レースはドライコンディションの13時にスタートした。
GT500クラスのフロントロウは、タイトルを争う38号車KeePer CERUMO GR Supraと1号車au TOM’S GR Supraが並んだ。
KeePer CERUMOの石浦宏明選手と大湯都史樹選手のコンビは、ポールポジションから逃げ切って優勝し、そのうえでau TOM’Sが3位以下となることが王座獲得の条件であった。一方でau TOM’Sの坪井翔選手と山下健太選手のコンビは、2位以上で自力で連覇を決められる状況だった。
3番手から6番手は日産勢が続いた。ホンダ勢で唯一タイトル獲得の可能性を残していた100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTは7番手からの発進である。その他、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra、14号車ENEOS X PRIME GR Supra、37号車Deloitte TOM’S GR Supraのトヨタ勢3台にも王座獲得の可能性は残されていたが、Q1敗退により追い上げのレースを強いられることとなった。
タイトル争いは1周目から動いた。au TOM’Sの坪井翔選手は4コーナーでKeePer CERUMOの石浦宏明選手を抜き、トップに浮上。石浦宏明選手は、さらに12号車TRS IMPUL with SDG Zにもかわされ、3番手に順位を落とす。
ピットウインドウがオープンとなる21周(レース距離3分の1)を過ぎると、GT500各チームのピットは一気に慌ただしくなった。22周目には2番手のIMPUL、3番手のKeePer CERUMOがピットイン。23周目にはそれをカバーするように、首位のau TOM’Sもピットに向かった。
そんななか、IMPULの前でコース復帰したKeePer CERUMOの大湯都史樹選手は、アウトラップの90度コーナーで痛恨のコースオフ。これにより、au TOM’Sを逆転するどころかポジションを落としてしまった。
そして24周目、ホンダ勢トップの5番手につけていたSTANLEYが驚くべき戦略に出た。GT500クラスではまず見られないタイヤ無交換作戦により、他車より10秒以上短いピット作業で事実上のトップとしてコースに復帰したのだ。
しかし、この奇策はうまくハマらなかった。フレッシュタイヤを履くライバルとのペース差は秒単位であり、STANLEYの牧野任祐選手は29周目にau TOM’Sにオーバーテイクを許した。その後、IMPUL、23号車MOTUL AUTECH Zにもパスされてしまう。
au TOM’Sと坪井翔選手の3年連続の偉業
トップを走るau TOM’Sは王座に向け盤石な状況であると言えたが、後続の日産勢、IMPULとMOTULに接近を許した。45周目にはIMPULに抜かれ一旦は2番手に落ちたが、すぐに抜き返して首位を取り戻す。さらにIMPULとMOTULの間でもバトルが勃発し、優勝争いは混沌とした状況となった。
しかし、au TOM’Sは最終的に首位の座を堅守し、歓喜のトップチェッカーを受けた。チーム、そして坪井翔選手は2023年から3年連続のGT500タイトルを堂々の優勝で決めた。
坪井翔選手はGT500史上初のドライバーズタイトル3連覇、そしてロニー・クインタレッリ選手と並ぶ史上最多タイの4度目王座獲得となった。2位はIMPUL、3位はMOTUL、4位はSTANLEYで、ホンダ勢の最上位である。


















































