貴重な純国産のスケールモデルを製作する
『日下エンジニアリング』が新社屋に移転
日産のスカイラインGT-R/R35 GT-Rを中心にさまざまなオリジナルグッズを製作する「日下エンジニアリング(鳥取県米子市)」。このたび、業務拡張と作業効率の向上を考えて移転となった。
具体的には開発部門は以前の場所に残し、主力商品である「エンジンスケールモデル」の製作工房と本社機能のみが市街地へと移転。「そんなのわれわれには関係ないじゃないか」という声が届きそうだが、さにあらず。
今回の移転にあわせて、既存の商品ラインアップを展示するとともに、製造工程の最終現場である製作工房を一般に公開することが決まった。実は「日下エンジニアリング」は開発から製作まですべてを日本で手掛ける数少ないスケールモデルメーカー。他のメーカーは開発こそ日本だが、生産はほとんどが中国である。すなわち、ここ日本では製造現場を間近で見ることは不可能だったのだ。
「おかげさまで1/6エンジンスケールモデルは、これまで5種類18アイテム(平成29年10月現在)を製造してきました。NISMOさんが主催する『NISMOフェスティバル』やGT-R Magazineさんの『R’s Meeting』など、イベントでは商品を展示しますが、常設で商品ラインアップを見ていただく場所はなく、弊社のホームページをご覧いただくしかありませんでした。今回の移転により、本社に展示スペースを設置。こうした当社の商品を常時一同に見られるのは本社以外に、大阪の南港にある『GLION MUSEUM』(14アイテム)の2ヵ所しかありません」と語るのは同社代表の佐々木禎氏。
「また、ご希望により、エンジンモデルの製作、組み立て現場を見学していただくことも可能です。これは商品をオーダーいただいたお客さまから『商品がどのように作られているか実際に見てみたい』というご希望が以前から寄せられていたこと。メイド・イン・ジャパンのモノ作りの素晴らしさ、われわれの商品に掛ける思いを知っていただきたいと思ったからです」と語る。
今回、新社屋へ足を運んだのだが、入口のドアを開けると白壁とウッドの床板を組み合わせた長いエントランス。
その奥にあるのはカワサキの名車「750SS」。そして、11機のエンジンモデルが並ぶ展示台が鎮座するなど、何とも素敵な雰囲気だ。
そして、社内の奥がお目当ての製作工房。台上には製作途中のエンジンモデルがずらりと並び、左右ラックには組み立てに必要な構成部品が区分けされ、揃えられるなど工房内を見るだけで楽しくなる。
当日は、引っ越し直後だったため作業は行われていなかったが、組み立てはすべて手作業。壁に掲げられた取り付け手順を確認しながら、一つ一つ丁寧に仕上げられていく。
最終的にはすべての商品を佐々木代表が最終チェック。不備がないことが確認できて、初めて梱包に回されて、出荷となるという。
「見学については電話で事前連絡をお願いします。エントランスの完成品については営業時間内であればご覧いただけますが、工房内は申し訳ありませんが、わたしが社内に在席している場合のみとさせていただいています。また、商品をご覧いただいた上でのご注文やオリジナルグッズ類の購入も可能で、アンテナショップ的な役割も持たせています」と佐々木代表。
日本のクラフトマンシップに触れる機会はなかなかないが、その製作現場の一部を公開し、身近に感じさせてくれる「日下エンジニアリング」の試みは素晴らしい。
近くにお住まいの方はもちろん、山陰を旅するときにはぜひ訪れてほしい。オーナー、ファンのみならず楽しめることは間違いない。
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日下エンジニアリング公式サイト