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ブレーキパッドの「焼き入れ」は百害あって一利無し!正しいブレーキのナラシとは

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  • ディクセル

制動時の不快な振動を抑制するには
300〜1000kmのナラシ運転が必要!

ブレーキパッドやローターを交換したとき、「パッドの焼き入れ」と称してブレーキから白煙が吹くように故意に温度を上げるようなことをするとローターの歪みの原因となり、パッドも表面が炭化してしまう。
ストリート用ブレーキは、制動頻度が高い市街地走行(一般道)で300〜1000km、急制動や急ハンドルなどの”急”の付く運転を避け、じっくりブレーキパッドのアタリ付けをするナラシ運転をすれば、本来の制動力を発揮し、不快な振動を抑制することができる。
ブレーキ

「”ブレーキパッドやローターを替えたら焼き入れが必要だ”とまことしやかに言われているようですが、これはレース用のパッドのお話で、ストリート用ではNG。まさに都市伝説のようなものです。
新品ブレーキにとって、そんな急激な温度変化はローターの歪みの原因となり、ブレーキング時の振動などのトラブルが発生します。”新品ローターを入れたのに歪んで振動が出た”なんて言う人に限って、このような間違ったナラシ運転をしていることが多いですね」とブレーキパーツメーカー「ディクセル」の金谷氏は語る。

ディクセル

急ブレーキを掛けると、急激にローターに熱が入るため歪みが発生しやすくなる。また急ブレーキによってブレーキパッドの摩材がローターの一部に付着することもあり、その部分が凸状となってブレーキング時の振動の原因となるようだ。
また、左足でブレーキを掛けながら温度を高めようとしても、万遍なく熱が入るわけではなく、クーリング(冷却)も十分に行えないために、ヒートスポットやローターの歪みが発生しやすくなるそうだ。

主要ブレーキ系パーツの交換は、パッドだけ、ローターだけ、パッドとローターを同時にといったようにそれぞれの摩耗状態によって3つのパターンがある。

ブレーキフルードの交換については『【知ってる?】ブレーキオイルの交換サイクルは”最長2年”毎』を参照してほしい。

ただ、ローターを交換をするときは、できればパッドも同時に替えたほうが良いそうだ。
その理由は、新品ローターの表面は当然のことだが平坦になっている。ところが、中古パッドの摩材は従来ローターの摩耗状況なりに変形している。ブレーキ
使用状況によってはローター表面がレコード盤のような溝がついていることがあり、パッドの摩材もその凸凹に合わせて摩耗しているわけだ。
そのようなパッドに新品ローターを組み合わせても、パッドの摩材とローターが正確に接することはできず本来の制動力を発揮することはできない。
また、ローターが平面ではなく凸部でパッドを引っ掻くことになるので、鳴きの要因にもなりうる。

ディクセル

じつはブレーキローターの表面には、走行する毎にブレーキパッドの摩材による皮膜が形成されるほどに制動力は高まるそうだ。
「ブレーキパッドの摩材とローターに形成された皮膜が引き合うようなイメージですね。そのようなことからローターの皮膜が形成されるまでは、本来の制動力は出ません。ただ、パッドだけ交換したときは注意が必要です。
もし、従来とは異なる種類のパッドを選んだときは、既存のローターの皮膜が剥がれて、新たな皮膜が形成されるまでは、本来の制動力は発揮できません。とくにローター攻撃性の低いストリートタイプほど皮膜が剥がれにくく、ナラシ運転は1000kmくらいは必要ですね」と金谷氏。ディクセル

「ブレーキパッドを交換したら効きが悪くなった」という不満は、このような皮膜形成ができていないケースが多いそうだ。ディクセル

ちなみにディクセルのローターは、表面に防錆コーティングが塗られているため新品時はシルバーだが、軽くブレーキを踏んだだけでパッドが接触しているところから剥がれていく。
ディクセル

写真は数m動かした状態だが、防錆コーティングがレコード盤状になっているように、まだパッドのアタリが付いていないのでキチンと接触していないのがわかる。

パッドのアタリ付けは約1000km必要
育てるような気持ちで焦らずジックリ

「新品ローターには、格子状のキズ(クロスハッチのような溝)が付いていますが、これが消えないうちはまだまだナラシ運転は初期段階で、アタリは出ていません。前述したようにローターに皮膜ができるまで時間がかかります。それまではジャダー(振動)が希に出ることもありますが、いずれ収束します。焦らずジックリとアタリを付けてください」と金谷氏は語る。ディクセル

ブレーキパッドのアタリ付けに1000kmと言われると正直長く感じる。しかし、次回のブレーキパーツ交換までの数万kmを制動時に振動が発生せず、快適に過ごすためには大切なことなのだ。

ディクセル

実際、低ダストブレーキパッド『Mタイプ』にストリート用ローター『PDタイプ』を組み合わせた車両では、装着当初は純正ブレーキパッドよりコントロール性は向上したのは感じられたが、制動力は心許ないところがあった。正直に言うと、減速から停車するときに意識してペダル踏力を高める必要があった。ディクセル

しかし、一般道をメインに約1000kmを走行したところから制動力が明らかに変化。意識してペダル踏力を高めることなく停車させることができるようになったのだ。その変化は、慣れもあって気付きにくいかもしれないが、じっくり育てるようにアタリ付けをすることの重要性を感じさせられた。

取材協力:ディクセル http://www.dixcel.co.jp/

撮影協力:田中オートサービス http://www.tanakaauto.com/

撮影:吉見幸夫

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