【LSD】クルマの走りを激変させる駆動系セッティングの重要ポイント

【LSD】クルマの走りを激変させる駆動系セッティングの重要ポイント

ワイルド&シャープに愛車の動きを激変させる

L.S.Dの基本的働きは以前紹介した。今回はそこから一歩踏み込んでL.S.D(リミテッド・スリップ・デフ)の選び方やセッティング方法をリポート。セッティングによって変化するL.S.Dの走行フィールを勉強して、自分好みのL.S.Dチューニングを実践しよう!

【アンダーステアを解消クルマをしっかり曲げるL.S.D】

プレミアム路線と安全・快適性を突き詰めていくと、車両重量は増加せざるを得ない。それとトレードオフするように失われてしまうのが、ビークルダイナミクス性能。モデルチェンジのたびに”意のままにキビキビ走る”感覚から遠のいていく車両もまた残念ながら存在する。

そんなダルなフィールにカツを入れてくれる存在、それがL.S.D(リミテッド・スリップ・デフ)だ。
多少ワイルドではありながらも、装着することで愛車をソリッドな動きに変身させてくれるL.S.D。「CUSCO」ブランドなら、ニーズに合わせたラインアップが揃っており、さらに自分好みに仕立てられるセッティングツールも豊富に用意されている。
さらに新素材の検討や形状などの見直しは随時実施されており、”L.S.Dはうるさくて扱いづらい”はもはや完全に過去のイメージだ。イニシャルトルクの調整やオイル粘度に気を配れば、純正トルセンデフと同等の静粛性も可能にしながら、気持ちのいい回頭性を実現することだってできる。

L.S.Dの基本機能とタイプ別の作動イメージについては、前回解説したゆえ繰り返しになるが、L.S.Dの役割は純正デフではどうしてもロスしてしまう駆動力を最適に路面に伝えることにある。
ショップなどの推奨セットでももちろんトラクションの向上は体感できるが、動きに身体が慣れてくると次なるステップへ挑戦したくなってくるのもL.S.Dの奥深きポイント。どんどん自分好みのコーナリング性能に仕上げていくのは本当に面白い。

走るステージやドラテクによって効きの強さやタイミングを任意に変えられ、スバルAWD(MT車)ならL.S.Dも前後ふたつとなるので、ツボにはまったバランスが見つかった際の自在感は何物にも代えがたい。
一体感をどこまでも追求できるセッティングの奥深さを内包するL.S.D。まだ未体験の方は、こちらの世界へぜひエントリーしてほしい。

 

LESSON.1 AWD車のL.S.Dの選び方

純正デフでは味わえない刺激的な回頭フィール

フロントに1WAY・45°/リアに2WAY・45°の『タイプRS』を装着したWRX STI(VAB)デモカー。『タイプRS』は、ビギナーからエキスパートまでセッティング次第で幅広い守備範囲を持つ。

カム角はちょうど中間域なので効きは強からず弱からずといった数値だが、実際に乗ってみると”チューンドカーを駆っている”といった雰囲気。荒馬をねじ伏せながら走る、というクラシカルな楽しさに満ちている。
回頭性の良さはDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)を最弱にした状態がもっとも体感できる。交差点を曲がる際などの異音に戸惑うかもしれないが、慣れてしまえばそのスパルタンさもまた魅力だ。

センターデフの効きが調節できるDCCDと前後にL.S.D(機械式デフ)を組み合わせることで、より理想的なコーナリングを極めることができる。

 

LESSON.2  指向別L.S.Dの選択方法

タイヤの摩耗を抑えたい→『タイプRS』がオススメ
CUSCOのL.S.Dの基本形といえる『タイプRS』。異音を抑える基本構造はストリート向けという位置づけで、より圧着力を増したトラクション重視の『タイプMZ』に比べるとアームやブッシュへのダメージが小さく、タイヤの摩耗も少ないメリットもある。ただしプレートの肉厚や内部スプリングの本数を自在に可変させることで、MZ以上の効きを得ることも可能だ。

 

ジヮ〜とデフを効かせる→『タイプ MZ・スペックF』がオススメ
『タイプRA』、『タイプMZ』それぞれに用意されている別バージョンが『スペックF』。片面が写真のように溝のないフラット面になっているプレートを採用する。
効きはじめがマイルドなタッチが好みのユーザー向けだ。
効きの強いモデルと比べるとどうしてもタイヤが空転しがちになるが、サスペンションのストロークを増やしトラクションを確保するなど合わせ技でリカバリー可能だ。

 

AT車に最適なL.S.Dは?→『ハイブリッドデフ』がオススメ
街乗りがほとんどでL.S.Dの必要性をとくに感じないというAT車ユーザーもいるだろう。しかし愛車の正しい性能を発揮させるためには、L.S.Dを喰わず嫌いしていてはもったいない。
『タイプMZ』と『タイプRS』の構造をハイブリッドさせたこのタイプがオススメ。なに気なく曲がっていたコーナーが、新鮮に感じられること請け合いだ。轍でのフラツキも減りAWDなら直進安定性の向上も体感できる。

 

LESSON.3 L.S.Dを自分流にセッティングする

“自分好みの最適化を求道する修行もまた楽しい”

SUBARUのAWDならフロントに1WAY、リアに1.5WAYの装着が推奨だが、吊るしで乗るのはじつにもったいない。無限にあるL.S.Dのセッティングの方向性とそのファクトを駆使してこそ運転は深化する。
『タイプRS』を例にするならプレートの枚数/組み方、スプリングの本数、クロスシャフト形状、カム角、果てはデフオイルの粘度に至るまで、その組み合わせを自分好みに突き詰めることができる。

ご近所が気になるならチャタリング音も抑えられるし、フロントデフのカム角を強くすればFF的にフロントを巻き込むように走るスタイルが実現できる。
ローダウンの結果、減ってしまったサスペンションストロークをリカバーするのにもL.S.Dは有効。DCCDのロック率を可変させるとさらにセッティングの幅は広がる。
コンマ数秒を競うワークスドライバーは毎戦ごと、またコース毎にセッティングを微妙に変えて挑むのだという。

【L.S.Dの機能とポイント】

サイドギヤ
クロスシャフトと一体化されているサイドギヤ。鍛造で強くコンパクトに作られ多くのプレートを装着することができる

プレッシャーリング
角度の違う山が刻まれており、クロスシャフトを隣接する別の山に組み替えるだけで簡単に効き方を変えられる

フリクションプレート
ケースサイズによって異なるが、どの厚さのプレートをどの順番で組むかで効かせ方が変わるLSDの核となる部品だ。

クロスシャフト
このシャフト形状と隣接した金属プレートの角度(カム角)によって、作動タイミングと効きを調整することができる。

RSスプリング
『タイプRS』とハイブリッドデフに採用されるスプリング。最大で12本を挿入でき、その本数で圧着力が調整できる。

 

【L.S.Dの誤った迷信】

その1.L.S.Dは運転が上手くなってから?
見えない箇所であり決して安価ではないため、装着が後回しになってしまいがちなL.S.D。しかし車両の動きがリニアに把握できるため、むしろビギナーにこそオススメ。AWDなら、リアだけでも交換したい。ウエット路面での安定感や高速道路でのふらつきが減ることの安心感は大きい。降雪地ならそのメリットをより享受できるはずだ。

その2. 定期的なO/Hは必要!?
キャロッセによれば、通常の使用環境であれば4〜5年はメンテンスフリーだというL.S.D。とはいえケースサイズにもよるが10数枚のプレートが常に圧着している内部は、経年による摩耗で圧着力が落ちてくる。それがオーバーホールのタイミングと言えるが、前のめりに考えるならそこで同時にセッティング変更できる好機だ。

その3. プレートの枚数でL.S.Dの効きが決まる?
厚さ1.5mm程度のプレートが複数枚使われているL.S.D。わずかな厚みの差を計算しながら組み込み、かつ外爪、内爪の2種類の形状を組む順番でも効きが変わる。カム角やクロスシャフト形状まで含めると、セッティング幅は無限。蓄積されたノウハウと直結するので、プロショップに好みを伝え委ねたほうが無難かつ的確だ。

 

L.S.Dはとにかく奥が深い

クルマの特性、オーナーの走り方などさまざまな要素でセッティングが変わってくるL.S.D。キャロッセ営業部 部長・柳澤宏至さん曰く
「セッティング次第で自分好みの走りが可能になるのがL.S.Dです。装着したことがきっかけで、もっと走りが楽しめるようになります!」という。
まだL.S.Dを装着していないというオーナーは、是非ともこの機会に装着して、L.S.Dの持つ機能をじっくりと味わっていただきたい!

 

キャロッセ TEL027-352-3578
https://www.cusco.co.jp

 

(レポート:スバルマガジン編集部)


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