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世界に2台の社長専用車「センチュリーGR」が訴えるトヨタの思いとは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

クルマ作りの姿勢とチャレンジする心を訴求

 正月の恒例行事といえば箱根駅伝。今年も多くのドラマが生まれたが、クルマ好きならばランナーを先導していた「センチュリーGRMN」にも目を奪われたはず。

 なぜ、現時点では市販の予定もないモデルを選んだのか。そこにはトヨタのクルマ作りに対するコダワリ、飽くことなきチャレンジ精神が込められていた。

 2月9日(土)から2月11日(月)に、インテックス大阪で開催中の「大阪オートメッセ2019」。ガズーレーシングのブースでは新型スープラに加え、全国的に脚光を浴びたセンチュリーGRMNも大人気だ。

 じつは箱根駅伝とトヨタのパートナーシップは、7年ほども前から続いている。国民的行事ともいえるスポーツの箱根駅伝には、やはりスポーツカーこそが相応しいと考え、今年はトヨタが誇るフラッグシップモデル、世界に2台しか存在しないというセンチュリーGRMNを投入。昨年9月にツインリンクもてぎで開催されたスーパー耐久など、今までも人の目に触れる機会は少なからずあったが、全国にTV中継される箱根駅伝となれば宣伝力はケタ違い。通常ならば販売に力を入れたい車種を投入するところだが、センチュリーGRMNは現在のところ市販を考えていないばかりか、ベースとなるセンチュリーも約2000万円という価格帯で、一般的に購入を検討するクルマとは考えにくいだろう。

 じつは、トヨタが訴求したかったのは商品そのものではなく、クルマ作りの姿勢やチャレンジする心であり、その結晶といえる存在がセンチュリーGRMNだったワケだ。開発は当然ながら「ガズーレーシング」が行ない、エクステリアからサスペンションにいたるまで手が加えられている。それらのパーツも以前であればTRDやモデリスタが主導していたが、センチュリーに関してはすべて社内で開発・製作したという。

 根底にあるのは機械との意思疎通であり、クルマが思いどおりに動く楽しさを感じてもらい、最終的には交通安全にまで繋げること。特に大きなポイントとなるのはエアサスのチューニングで、途方もない予算を費やしたと思う人も多いだろう。しかし実際は机上での計算を徹底的に追い込むことで、試作品が少なく済みコストは意外なほどかかっていないらしい。最後は社内のマスタードライバーと開発スタッフが実際に車両を走らせ、意のままにコントロールできる優れた操縦性を実現させたのだ。

 GR統括部の渡邊さんとGRプロジェクト推進部の蟹江さんによると、レーシングカーがどう猛な猛獣だと仮定すれば、操るレーシングドライバーは超一流のスキルを持つ猛獣使い。対して市販車をベースとしたGRMNが目指しているのは、使い手の意図を汲んでサポートする盲導犬のような存在だ。

 その集大成ともいうべきセンチュリーGRMN。箱根駅伝の反響は大きく、詳細なスペックや市販モデルとの違い、販売計画についてなど問い合わせが殺到しているという。先にも書いたとおり「現時点で販売の予定はありません」とのことだが、ガズーレーシングの理想とするクルマ作りはすべての車種に共通している。今後デビューするであろう『GR』の名が冠されたスポーツモデルにも大いに期待したい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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