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シャコタンのクルマは要注意! 最低地上高9cm以上でも車検をパスできないことも

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

ホイールベースが長いクルマは下げすぎに注意

 ドレスアップやチューニングでは定番ともいえるローダウン。車高調整式サスペンションキットの装着やスプリングを交換し、ノーマルよりも車高を落とすのが一般的。だが、ここで気をつけなければならないのは、車高の落とし過ぎ。保安基準で最低地上高は9cm以上と定められていて、それより最低地上高が低いクルマは非合法となり、当然車検も通らなくなる。なぜ、この最低地上高が重視されるのか。

 保安基準の第3条には「自動車の接地部以外の部分が、安全な運行を確保できるように地面との間に適当な間げきを有することとする」と記されている。

 道路には、凸凹もあれば轍もある。踏切や工事個所、道路脇のガソリンスタンドやファミレス、コンビニ、その他にも店舗の駐車場に入るときのギャップもあれば、坂道やスロープもある。ベタベタの落ちた車高では、走行中にオイルパンやデフ、マフラーその他の重要部品を擦ったり、破損させたりして、安全な運行を確保できなくなる可能性があるため、一定の基準を設けているというわけだ。

 では、その最低限必要とされる最低地上高=ロードクリアランスは、どういう根拠で「9cm」となっているのか?

 これも保安基準第3条 第2節 第85条「最低地上高」の項に『軸距間に位置する自動車の地上高は、次式により得られた値以上であること』とあり、その数式は、下記の通り。

「H = Wb・1/2・sin 2° 20 ′+4」

 これだけでは、さっぱり意味が分からないかもしれないが、Hは最低地上高(cm)、Wbはホイールベース(cm)、(三角関数正弦の数値の)Sin2° 20 ′の値は、「0.04」という意味。

 新型スープラ=GRスープラを例にすると、ホイールベースは、2470mm。つまり、247cm×1/2×0.04+4なので、最低地上高の下限は、8.94cmになる。ということは、GRスープラなら、9cm未満でも合法なのか? と思うかもしれない。

「測定方法」の項には『測定値は、1cm未満は切り捨てcm単位とする』とあるとともに“測定値の判定”の項に、『自動車の地上高(全面)は、9cm 以上であること』と明記されている。どんなにホイールベースが短いクルマでも、最低地上高は9cm以上ないと違反になる。

 反対に、前記の計算式に当てはめると、ホイールベースが3000mmを超える大きなクルマの最低地上高は9cmではなく、10cm以上が合格ラインなので、ミニバンなどロングホイールベースのクルマは要注意(レクサスLSのホールベースは3mオーバーの3125mm)。

 なお、ここまで語ってきた最低地上高9cm以上というルールには、下記の3つは含まれない。

a) タイヤと連動して上下するブレーキ・ドラムの下端、緩衝装置のうちのロア・アーム等の下端

b) 自由度を有するゴム製の部品

c) マッド・ガード、エアダム・スカート、エア・カット・フラップ等であって樹脂製のもの

これらのパーツに限り、最低地上高5cmまでは合法になる。

 ちなみに国産スポーツカーのノーマル時の最低地上高は、12~13cmぐらいに設定されているクルマが多い。したがって、保安基準内でローダウンするとなると、ノーマルからマイナス3~4cmが合法ローダウンの目安だと思えばいい。

 実際、最低地上高が9cmピッタリぐらいのクルマに乗ると、小さなギャップでも気を使うようになり、けっこう不便に思うことも……。

 そういう意味では、最低地上高9cm以上という基準は、実用的で絶妙な落としどころといえるだろう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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