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自動車用語「レストア」と「オーバーホール」の定義とちがい

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

“レストア済み”といった言葉に騙されるな

 自動車のレストアとオーバーホール。どちらもよく耳にしたり、目にする言葉だ。意味としてはほぼ同じで、「元に戻す」になる。ちなみにレストアは、レストランとも語源が同じで、こちらは「食べることで空腹を元に戻す」というのが語源となっている。

 用語として使われるようになったのは、オーバーホールはかなり昔からだが、雑誌やそこに掲載されている広告を見ると”レストア”というのは1990年頃だと推測。つまり、比較的新しい言葉と言っていい。

 では、ふたつの違いなのだが、ニュアンスで使い分けているところもあるが、オーバーホールは分解・修理することで機能を元に戻すもので、レストアは機能も含めつつ、見た目も含まれていることが多い。つまり、エンジンやブレーキの機能を元に戻すのはオーバーホールで、ボディを含めた車両全体を新車のように美しく蘇らせるのはレストアとなる。

 すなわち、「ボディをオーバーホールする」とは言わないし、逆に「ブレーキをレストアする」というのも基本的にあまり言わない。エンジンはどちらも使うことがあるが、レストアと言う場合は、ピストンを新品にしてシリンダーをボーリングするなどの機能部分の回復(これはオーバーホール)に加えて、ブロックやヘッドカバーを塗装したり、各部のメッキも新しくするなど、見た目のリフレッシュも含まれることが多い。つまり、美観も含まれるのがレストアというわけだ。

 実際のところ、厳密に使い分けができたり、しっかりとした定義があるわけではないが、いずれにしても機能を回復したりすることには変わりない。レストアのほうが範囲は広いということになるのだが、最近は中古車などで軽々しくレストア済みと言う傾向にあるように思う。響き的にもしっかりと手を入れた感じがするし、質も良さそうに感じるのは事実なのだ。

 とはいえ、必ずしもそんなことはなく、結果としてトラブルになることも多いが、それはレストアの定義が曖昧で、指す範囲も広いことが原因だったりするからだろう。クルマを購入したり、作業を依頼するときは、その響きに惑わされないこと。「レストアじゃなくて、ただのオーバーホールでしょ」ということもあったりするだけに、定義ではなく実際にどういった作業したのかを確認するほうがいいだろう。

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