クルマを売るのが商売なのになぜ? 自動車メーカーがカーシェアリングに参入するワケ

クルマを売るのが商売なのになぜ? 自動車メーカーがカーシェアリングに参入するワケ

次々と自動車メーカーが参入する目的を検証

 クルマの新しいサービスとして注目されている「カーシェアリング」ですが、本来はクルマ販売が主力のビジネスモデルだった自動車メーカーが、続々と市場参入を始めています。一体なぜ、どんな目的があるのか? 各社が進めている最近の動向から検証してみます。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

 最近注目されている「シェアリングエコノミー」。モノやサービスなどを人と共有する仕組みで成り立つマーケットのことですが、有名なところでは「ルームシェア」。他人と部屋をシェアする生活スタイルのことで、海外ではルームメイトという呼び方で随分前からありました。

 他にもいろいろあるのですが、クルマに関係するものでは、新しカーライフのカタチとしてマーケットが動き出しているのがカーシェアリング。なんだか、レンタカーと似たような感じですが、カーシェアリングとは、これまでのようにマイカーを所有するのではなく、複数の人が共同で車を使用するシステムのことです。

 このサービス、従来のレンタカー屋さんなどが展開しているのであれば不思議はないのですが、最近は新車を販売する自動車メーカーが積極的に動き出しているのが気になります。

 

スズキは大阪で実証実験を開始

 まずは、スズキ。2019年9月にスマートバリューや丸紅と共同で、特定のクルマを複数の人で共有する「カーシェアリング」の実証実験を大阪府豊中市で実施することを発表しています。

 実験期間は約1年間。豊中市内のスズキの販売店や郊外の駐車場に新型の軽自動車や普通車を配置し、ユーザーはスマートフォンにインストールした専用アプリで利用。スマートフォンで空車の検索や予約、クルマの解錠をできるようにします。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

 3社の目的は、この実証実験によってマーケットの需要や運営ノウハウを探ることで事業化に向けての検討をすること。実験では短時間からの利用もOKとし、今後は販売店を拠点とする様々な事業展開を想定しているようです。

 実際、スズキの場合は新車販売に関して試乗車を置いている拠点も少ないことから、ユーザーにとっては本当に乗りたいクルマをカーシェアで試すことができるのはメリットです。

 また、スズキとしては、今回の実験内容のように、販売店をうまく活用した様々な新規ビジネスを模索しているようで、今後の展開が注目されます。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

ホンダは東京、横浜、大阪で展開

 他の自動車メーカーとしては、ホンダが2017年から新しいレンタカーサービス「EVERY GO(エブリゴー)」を東京、横浜、大阪で展開しています。

 魅力は、新型車にいち早く乗ることができること。基本料に加え走行距離に応じた料金を加算するシステムですが、8時間から設定されている利用時間はまとまった時間、最新機種に乗車することで魅力を知ってもらうためとしていて、一般的なカーシェアと比べ30~40%安い設定となっています。

 ちなみに、N-BOXの場合の最低料金が8時間3780円+距離料金1kmあたり15円(10月1日より17円)になっています。

 会員制ですが、入会はICカード運転免許証とクレジットカードで簡単にできます。また、クルマの解錠などもICカード免許証でできるなど、様々な便利機能を有しています。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

日産はEVを使ったサービスを全国展開

 日産自動車は、2018年1月からカーシェアリング「e-シェアモビ」を全国31都道府県で展開。最先端技術が搭載されたリーフ、ノートe-Power、セレナe-PowerなどのEV(電気自動車)でのドライビングを体感できることを売りにしています。

 ICカード免許証やクレジットカードを使いインターネットで入会し利用できます。利用時はICカード免許証でクルマを解錠する点などは、ホンダと同様です。

 料金は月額無料プランの場合でノートが6時間4100円になっています。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

月額定額サービスを始めたトヨタ

 トヨタ自動車は、2018年に駐車場のタイムズを展開するパーク24と業務提携し、カーシェアリングサービスの実証トライアルを行いました。

 東京都内で行われたトライアルでは、サービスの検証だけでなく様々なデータ収集も実施。多目的スポーツ車(SUV)のC-HRに通信機をつけ、カーシェアサービスに使ってもらうことで、車の航続距離や位置情報などのデータを集めて分析し、新たなサービスや車載端末の開発につなげることを目的としていました。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

 その後、トヨタはカーシェアリングとは違う新たな試みを始めます。2019年から月額定額でクルマが利用できるサブスプリプションサービスのKINTO(キント)を展開し始めたのです。任意保険や自動車税、車両のメンテナンス代などがセットになった定額サービスで、3年間で1台のトヨタ車に乗れるKINTO ONEと、3年間で6車種のレクサス車に乗り継げるKINTO SELECTを設定しています。

 なお、料金はKINTO ONEでアクアを選んだ場合、月々3万9500円(税別)〜になっています。

自動車メーカーはなぜカーシェアリングに参入するのか

 自動車メーカーのカーシェアサービスは、現状では運営拠点が少なかったり、実証実験の段階で本格始動していないなど、まだまだこれからといえます。ですが、これまで市場を開拓してきた他のカーシェア運営会社の料金設定より安かったり、新型車に乗れるなど独自のサービス展開を行っているのが特徴です。また、トヨタのKINTOのような新しいサービスも始まっています。

 これらの動向は、最終的に新たなクルマ購入ユーザーの獲得を目指すなど、その目的も様々のようです。自動車の販売台数の減少傾向が続く中、自動車メーカーとしては新規ビジネスのひとつとして参入している側面も見えてきます。

 そう考えると、今後、さらに“自動車メーカー対カーシェア企業”の市場競争が激化することが予想されます。ユーザーとしては、より使いやすく、よりリーズナブルなサービスが出てくることに期待したいものです。


画像ギャラリー