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長寿なクルマが多い日産車、10年以上もモデルチェンジされない悲しき事情とは

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TEXT: 永田恵一  PHOTO: Auto Messe Web編集部

どうなる日産のクルマ10年選手

 世の中でも大きなニュースにもなっているように、2018年11月の”ゴーンショック”以来収益の悪化など、日産が大きく揺れている。そんな状況に日産も「心機一転」のため社長の交代や、2020年には新型車を5車種投入することを発表するなど明るい兆しも見えてきている。

 日産の収益の悪化には、メーカーの規模を考えるとここ数年新型車の投入が少なすぎたことも原因となっているのかもしれない。現在、日本で販売されている日産車を見ると、デビュー以来10年が経つというモデルもチラホラある。そこで特に古くなっている車種の現状と将来について考えてみたい。
※生産終了間近となっているキューブとジューク、商用バンがメインとなるNV200バネットは除く

 

GT-R(2007年デビュー)

 GT-Rは登場から13年目となりながら、大きな改良も含め毎年のように手が加えられているおかげもあり、世界トップクラスの性能をいまだにキープしている。さらには、「マルチパフォーマンススーパーカー」というコンセプトを追従する他モデルがないなど、未だに日本のシンボルカーに相応しい存在である。

 しかし次期モデルに関しては、今後非常に厳しくなる車外騒音や燃費の規制をクリアするのが困難なこともあるのだろう。現段階では、明確で具体的な将来の姿は見えていない。といったことを考えると何らかの形で次期型が現れるのであれば、それだけで御の字、というところだろう。

 

フェアレディZ(2008年登場)

 フェアレディZは、初代モデルが世界中のスポーツカーに大きな影響を与えた数少ない存在。6代目となる現行型はモデルサイクルの長期化に加え、GT-Rとは対照的に積極的な改良は行なわれていないという寂しい状況だ。

 現行フェアレディZの販売が低迷している原因として、3.7リッターV6というエンジンが現代には過剰だったのも大きく、先述のとおり販売低迷により改良が行なわれないという悪循環に陥っている。

 とはいえフェアレディZのフルモデルチェンジはしばらく行なわれない様子。しかし、今年あたりにはスタイルの変更、スカイラインに搭載されている3リッターV6ターボの搭載といったビッグマイナーチェンジを受ける見込みだ。

 フェアレディZもGT-Rと並ぶ日産のシンボルだけにビッグマイナーチェンジでつないでもらい、次期モデルには初代モデルのようなスポーツカーというジャンルに大きな影響を与えるモデルに再びなってほしい。

 

フーガ(2009年登場)

 セドリック&グロリアというビッグネームを引き継いだ「フーガ」は、現行型で2代目となり、2015年にビッグマイナーチェンジされて商品力を回復。しかし、その後は目立つ改良もなく販売も低迷が続いている。

 フーガはフルモデルチェンジの噂も聞かれず、将来を客観的に考えると現行モデルの存在感の薄さに加え、2019年にビッグマイナーチェンジされたスカイラインの存在を考えると、フーガの存在意義はさらに薄くなりかねない。といった要素を総合すると、残念ながらフーガは一世を風靡したシーマと同様に姿を消してしまう可能性が高いように感じられてしまうが…。

マーチ(2010年登場)

 コンパクトカーでも小さいクラスに属する「マーチ」は、価格を含めて魅力がないことが原因で、販売も低迷している。

 いつフルモデルチェンジされてもおかしくないマーチだが、日産の国内販売におけるエースであるコンパクトカーの「ノート」がそろそろモデルチェンジされそうなことや、軽自動車の存在、さらに三菱自動車との関係強化によりマーチはライバル車となるミラージュと統合される可能性は高い。

 これらの要素を考えると次期マーチは日本で販売されない、あるいはミラージュの兄弟車となるということも十分考えられる。

 

エルグランド(2010年登場)

 現行型の「エルグランド」は登場時に、ライバルだったトヨタの2代目アルファード&初代ヴェルファイアに対抗して、「乗ればいいクルマ」と充分な手応えを受け止められていた。しかし、その後、全高を下げたことがラージミニバンのユーザー層には受け入れられなかったようで成功を納められず、現在に至る。

 いまや、アルファード&ヴェルファイアの10分の1さえも売れていないエルグランド。フルモデルチェンジの噂も聞かれず、日産は諦めてしまったのかと思いきや2020年の東京オートサロンには市販化が濃厚なオーテックバージョン(コンセプトモデル)が出展された。

 このことは日産がエルグランドをいずれフルモデルチェンジする意思があるというメッセージのようにも感じられ、次期モデルの登場も期待できるのかもしれない。

 いずれにしても昔からよく言われることだが「日産が頑張らないと、日本の自動車業界が面白くない」というのはその通りなので、日産には2020年の新型車5車種だけでなく、現実的な価格で買える楽しいクルマの復活も願いたいものだ。

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