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渋滞中も便利な最新クルーズコントロール「ACC」、過信しすぎると痛い目に遭うケースとは

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

同じ車速をキープすることで生まれる危険性

 まず、一般的なACCは「セットした車速のまま走り続けてしまう」ということ。例えば、80km/hにセットしてACC走行をしていたとする。直線なら前車に追従、あるいは80km/hをキープして走ってくれるから快適そのものだが、カーブに差し掛かっても80 km/hで進入してしまう。カーブの曲率によってはかなり危ないシーンとなるわけだ。

 この場合、カーブ手前でいったん解除するか、あらかじめ速度設定ボタンを操作して、車速を落とさないといけない。多くのACCの速度設定ボタンの「-」を長押しすると、10km/hずつ車速を落としてくれることも知っておこう。

 高速道路の料金所にしても、前車にくっついていれば、前車に合わせて速度を落とし、再び自動でセットした速度まで再加速してくれる。しかし、そのつもりで前車のいない料金所に進入すれば、ETCゲートのバーに衝突する危険性もありえる。一般的なACCはマップデータや速度標識を読んでいるわけでないのだ。

 その点、日産スカイラインの「プロパイロット2.0(ACC機能含む)」は、日本車初の高精度3Dマップと7個のカメラ、ソナーを採用。高速道路のナビ連動ルート走行と同一車線での「ハンズオフ機能」を同時採用する。

 最大の売りであるハンズオフ機能は、約60~90km/hの速度域に限られるが(±10km/hの猶予があり、それ以上の速度域では従来のプロパイロットの機能になる)、高精度3Dマップがカーブなどを認識しているため、自動でカーブの手前から減速。コーナーを抜けるとスムーズに速度を復帰させるので安心感は高い。

 高精度3Dマップ搭載によって道路の速度標識も認識する先進のプロパイロット2.0だが、こちらも落とし穴がある。例えば、高速出口などで速度制限がいきなり40km/hになったりするケースでは、速度制限標識通り40km/hまで急減速。かなりの減速Gに見舞われ、それこそ、車両後方にピタリとついているクルマがいれば、追突されかねない事態になってしまうのが、悩みどころではある。

 さて、話を一般的なACCに戻すと、「再加速性能」というキーワードにも注目したい。ACC走行中に、料金所を通過し、前車が減速したあとの再加速、速度復帰もACCにお任せできるのだが、その再加速性能が穏やかすぎると、後続車に急接近、追突されかねない危険がある。

 ホンダ・ステップワゴン(2019年時点)など、再加速性能が穏やかすぎるクルマは、場面によっては安全のためにアクセルを踏んで加速する必要があることも知っておきたい。

 いずれにしても、高速走行の機会の多いユーザーにとって、全車速域対応型、渋滞追従型のACCは、クルマが快調に流れているシーンはもちろん、渋滞時でも非常に便利なのは事実。頻繁なペダル操作から解放され、運転のストレスを劇的に低減してくれる先進安全運転支援機能と言っていい。その便利さを過信することなく、安全・快適に使いこなしてほしい。

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  • 青山尚暉(AOYAMA Naoki)
  • 青山尚暉(AOYAMA Naoki)
  • 学生時代からプロミュージシャンとして活動し、ある日突然自動車専門誌、輸入車専門誌の編集者に転身。その後、モータージャーナリストに。新車試乗記やクルマコラムの執筆だけでなく、1台のクルマに対して20カ所以上を独自開発ツールで計測する車両パッケージ解説にもこだわりまくる性分。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動し、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿について情報発信。Web、専門誌、一般誌、ラジオ、TV、インターペット、キャンピングカーショーなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言。小学館@DIME、PETomorrowなどでは愛犬とのライフスタイル、ドッグフレンドリーカー記事を展開中。カートップの連載「CT DOG」をまとめた『愛犬と乗るクルマ』はドッグフレンドリーカー選び、愛犬とのドライブ旅行のバイブルとなるムック本。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」「ムリしないで外車が買える本」「すごい海外旅行術」など。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、デザインにも携わっている。趣味はスニーカー、バッグ、帽子の蒐集。今も音楽をいい音で聴くことにこだわり、愛車のサウンドシステムは総出力400W 10チャンネル9スピーカーで構成されるデンマークの「DYNAUDIO」。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~)。
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