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最終型グロリアに旧式の日産L型エンジンと5速MTに換装!時代を逆行する異色マシンを作った理由

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

新しいクルマで”古き良き”を味わう醍醐味

 見た目はシンプルなカスタマイズカーながら、エンジンは日産旧車のL28型エンジンでミッションはいまや希少な5速MT。大阪オートメッセ2020で話題を呼んだ1台は、魔改造多数ながら「フル公認」という安全&安心&快適を兼ね備えた日産グロリアだ。クルマが完成して車検を取得したのは1月7日とのこと。そこからの作業らしい作業は洗車だけという、完全合法を貫いたマシンが『TIC/Fine Spirit Y34』である。

 先述のようにルックスは小ぶりなエアロでキメた4ドアセダン。ところがボンネットを開けると誰もが目を疑ってしまう。エンジンはお馴染みの名機中の名機、3リッターに排気量アップしたL28型エンジン(L28改)をスワップした、新旧を入り混ぜた何とも不思議な仕様だ。オーナーであり公認車検のプロでもある、TIC代表の越川さんに製作の意図を聞いてみた。

「自分の好きなモノをひとつにまとめてみました。カスタマイズや旧車、スポーツ走行に魅力を感じており、家族を乗せてのドライブも普通にこなすクルマを作りたかったんです」。

 プライベートな愛車とはいえ、会社の看板を背負うからにはフル公認を取得した「合法チューン」でなければいけない。イベントでの展示を考えれば、さらに車高を下げたり目立たせる方法はあるけど、そうした二次改造は自社のポリシーに反すると考え、あくまで『完全合法』の展示にこだわった。

 公認取得または書類を提出したのはエンジン&ミッション、ドライブシャフトやプロペラシャフト、アーム類、ブレーキ、シートと多岐にわたる。ベースとなった車両は、45年間の歴史に幕を閉じた最後のモデルである11代目グロリア(Y34型)。当時はVQ型3リッターV6ターボも存在したので、わざわざ自然吸気の古い機構のエンジンへの換装を”デチューン”と感じる人はいるかもしれない。

 搭載されたL28改エンジンは、内部のチューニングと吸排気系の見直しで、トルクフルで扱いやすい320psを発揮。データロガーを備えたメーターやエンジン制御は「モーテック」で行なっており、キャブレターのような扱いにくさや渋滞にハマっての問題などは一切なく、ベストなセッティングが施されている。

 もちろん、エキマニやマフラーも合法だ。Y34型グロリアにはATしか存在しなかったミッションは、RB型エンジン用に載せ替えてクロスレシオ化。さらにOS製のツインクラッチや機械式LSDを装着し、サーキットも十分に楽しめる仕様とした。

 そして、車高調でローダウンしつつも最低地上高は合法ラインを維持し、アーム類を含めて公認取得。越川さんが初の愛車に履かせていたという「SSRメッシュ」のホイール奥は、ブレーキはセダンでは珍しい「プロジェクトμ」のブレーキキットをセットした(技術基準に適合した証明書類も発行済み)。

 6連スロットルによる鋭いレスポンスと吸気サウンド、エンジンのパワーバンドをキープするクロスレシオミッションにより、純正エンジンをイジっただけでは味わえない魅力と気持ちよさを手に入れたネオ旧車な1台。ちなみにエンジンの組み付けに載せ替え、駆動系を含めた作業はすべて越川さんが自ら行なったそうだ。

 古いクルマをベースに、新しいメカニズムのエンジンやミッションへの載せ替えはよくあるハナシ。そのセオリーを打破しつつ、しかもフル公認でありながらココまでチューニングできる、というお手本と呼ぶべき1台と言えよう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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