路面とタイヤの関係
また影響を及ぼすのは気象条件だけじゃない。「ラバーグリップ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。アスファルトの表面にタイヤのゴム(ラバー)が乗り、タイヤのグリップが増したり磨耗が減ったりする現象を指す。
サーキットでよく聞くのは、フォーミュラカーなどスリックタイヤを履いた車両のレースがあった翌日は、ラバーが乗っておりコーナリング速度が高くタイムも上がるという説。ただしラバーが乗るのはレコードラインに限った話で、それ以外の特にアウト側はちぎれたタイヤのカスが溜まりやすく、そこを走ると自分のタイヤで拾ってしまい、タイムが出にくいどころか振動や異音まで出てしまう。
タイヤに関していえば路面温度もグリップ力に関係してくる。路面温度が高ければグリップするが熱ダレしやすくなり、低ければ熱ダレはしにくいがグリップ力を発揮する温度までタイヤを暖めなくてはならない。
他車を利用してタイムアップ
最後は同時にサーキットを走行しているクルマ。コースが空いているほうがタイムは出やすいと思うだろうけど、ストレート速度やタイム差が少ないクルマであれば、自分のタイムアップに上手く利用する手段があるのだ。
レースの基本的なテクニックとして知られている「スリップストリーム」で、走行している車両の後方は空気の抵抗が少ないうえ、前車が作った空気の渦により引き寄せられる効果まで得られる。レースの決勝で追い越しのときよく使われるが、タイムアタックでも強力な武器となることは確実。
2本の長いストレートがあるスポーツランドSUGOでは、両方とも上手くスリップストリームを使えれば、1〜2秒タイムアップしても不思議じゃないという話も聞く。
以上、ここで挙げた条件がすべて一致する日はめったにないが、頭に入れておけば速かったり遅かったりした原因を分析する材料になる。サーキットをより本気で楽しむなら、覚えておいて損はないだろう。