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三菱は技術王国だった! 「可変バルタイ」「5バルブ」「MTシフト付きAT」など世間の度肝を抜いた「衝撃技術」6選

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 三菱自動車、Auto Messe Web編集部

世界で初めての量産直噴エンジンだったGDI(1996年)

 高出力で低燃費を両立する直噴エンジンは現在世界中のメーカーで主力となっているが、量産自動車として世界で初めて実用化(直噴エンジンでは第1世代と呼ばれる)したのは三菱。1996年にギャラン/レグナムに搭載されてデビューした。8代目三菱・ギャラン

 ちなみにGDIは「ガソリン・ダイレクト・インジェクション」の略。それまでのレプシロエンジンでは燃料はインテークマニホールドで噴射され、混合気となってシリンダー内部に送り込まれていたが、GDIでは燃料をシリンダー内に高圧で直接噴射する。これによってシリンダー内の温度を下げることとなり、ノッキング低減効果があり、圧縮比を高めて高出力化を狙え、熱効率も高まることで燃費向上にもつながった。直噴エンジンのイメージ写真

 また、低燃費と高出力の2つのモードを持ち、それぞれの特性に合わせて噴射の角度やタイミングをコントロール。特に低燃費モードでは独自の湾曲頂形状のピストン形状タンブル(縦渦)でリーンバーン(少ない燃料で燃焼させる希薄燃焼。何と空燃比は40:1だった)を実現。1.8Lの自然吸気ながら150psの出力と10.15モード燃費で1.5L車並み(当時)の18.8km/Lを両立し、自動車業界の話題をさらった。GDIエンジンの単体カット

 その後、全車GDI化を目指して3.5L/3L/2.4L/2L/1.5L/1Lと矢継ぎ早にラインアップを拡大。2000年には世界で初めて直噴エンジンとターボを組み合わせて量産化(4G93型1.8LGDIターボ、パジェロ・イオに初搭載)することにも成功。1.8LGDIターボエンジン

 さらにはプジョー/シトロエン、ボルボ、ヒュンダイが技術ライセンスを取得し、アルファロメオがパテントを購入。さらに2001年には累計生産台数が100万台を突破するなどGDIは世界の直噴エンジンのリーダー的存在となり、時代をリードした。

4WDの弱点を電子デバイスで解消したランエボ譲りのS-AWC(2007年)

 S-AWCは「スーパー・オールホイール・コントロール」の略でWRC(世界ラリー選手権)で勝つために”曲がる4WD”を実現するために投入された三菱自慢の車両運動統合制御システム。電子制御4WDをベースに、AYC(アクティブヨーコントロール)、ASC(アクティブスタビリティコントロール)、ABSなどの電子制御システムを総合コントロールすることで、常に最適な駆動・制動の配分され、刻々と路面状況が変わってもより速く、より安全なドライビングを可能としている。S-AWCのデジタル画面

 WRCなどモータースポーツの世界では1990年後半から実戦投入され、使用実績を重ね、市販車にその技術がフィードバックされたのは2001年のランサー・エボリューションVllからだ。ランエボⅦの走行シーン

 コーナーリング中に発生するヨー・モーメントを制御するAYCと電子制御の油圧ポンプと多板クラッチを組み合わせ、前後のイニシャルトルクを変更するのではなく、結合率を制御するACD(アクティブ・センター・デフ)を組み合わせることで、抜群のスタビリティと旋回性を兼ね備える曲がる4WDが完成した。

 このシステムにABSとASCのコントロールを加えた純然たるS-AWCとなるのは2007年のランサー・エボリューションⅩからとなる。

 2005年に登場したアウトランダーには前後の駆動配分をドライバーが「スノー」「ターマック」「ロック」と任意に変更できるドライブモードを追加、2012年のアウトランダーPHEVはツインモーターによる前後駆動配分を軸としたシステムが投入されるなど、それぞれの車種に最適なチューニングが施され、今なお三菱の基幹技術として脈々と受け継がれている。

メカニズムだけでなく、走りでも近未来を予感させた電気自動車(2009年)

 EV(電気自動車)といえば日産のリーフがメジャーな存在であるが、世界で量産化一番乗りを果たしたのは三菱だ。軽自動車の「i」のエンジンをモーターとコンバートし、200kgのリチウムイオン電池を組み合わせた「i-MiEV」がそれだ。

 ベースとなるiが発売されてから3年に渡る実走実験、性能評価を経て2009年7月から法人向けにメンテナンス&リース方式で発売を開始。個人向けは翌年4月からと発表された。電気自動車の使用として有効とされるシティコミューターとして開発され、発売当初の1回の充電での航続距離は160km。2010年発売のリーフが200kmであったことを考えるとかなり高性能であった。

 また、発売前からプジョー・シトロエンと欧州向けの電気自動車の共同開発が発表されるなど話題も多かった(2009年にOEM供給され、プジョーがiOh、シトロエンがC-ZEROの名称で発売)。発売当初の価格は453.9万円だった。

 2011年のマイナーチェンジで電池容量を16kWhから10.5kWhに減らしたエントリーモデルのMを追加し、ブレーキペダル連動回生ブレーキを備え、一充電航続距離を20km向上。その後も年次改良が続けられ、電気自動車としての基本性能を高め、さらに車両価格の見直しを定期的に行うなどブラッシュアップを重ねてきた。ただ、他メーカーからより高性能なEVカーが続々と誕生したことに加え、三菱の経営悪化により、EV事業に割ける予算は満足に得られず、i-MiEVは徐々に訴求力を失っていくこととなった。

 2020年で製造終了と噂されている(商用車のミニキャブミーブは継続販売予定)が、EVで培われた技術はアウトランダーPHEVで活用され、今後発売が予定されている日産との合弁会社「NMKV」で発売が予定されている新型軽EVに注がれることは間違いない。

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