安心の「最大1年2万km」保証
ただ、コンピュータのデータを書き換え、秘めたる性能を解放してやることは、正直全国のチューニングショップでも可能である。では、ニスモのスポーツリセッティングとショップのECMチューニングの違いはどこにあるのだろうか?
大きな違いは2つ。まず1つめは、ニスモは自動車メーカーのグループ関連会社であることから、マージンを削り取るとはいえ、絶対にエラーが出たり壊れたりしてはならない。そのため、街中のチューニングショップのようにクルマ1台1台に合わせてギリギリまでデータを詰めるようなことはしない。逆に日産直系であるがゆえに、メーカーからデータの開示を受け、どのあたりをどう詰めれば良いか、しっかりとしたデータベースをもとに仕上げている。そのため、購入後にオーナーが仕様を変えたり、メンテナンスを怠らない限り、スポーツリセッティングが原因で壊れることはほぼないはずだ。
2つ目は車種やチューニングの内容によって異なるが、最大で1年2万kmの「ニスモ保証」が付くこと(初年度登録から5年以上、総走行距離6万km以上の車種は保証が付かない)。これはスポーツリセッティングがリリースされた当時から継続されており、信頼耐久性に絶対的な自信がある証。もちろん、ユーザーにとっても大きなメリットである。違いをひと言で語るなら、「自動車メーカー直系ゆえに譲れないものがある」というところだ。
リーフやノートeパワーなどにも対応
また、スポーツリセッティングには現時点で「タイプ1」、「タイプ2」、「タイプ3」の設定がある。タイプ1はサーキット走行向けに速度リミッターのみ解除したもので、タイプ2は空燃比/点火時期/可変バルブタイミング/過給圧/電制スロットルなどの制御をリセッティングすることで、エンジンがもっているパフォーマンスを最大限に引き出す本格的なデータ書き換えメニュー、タイプ3はより効率を高める吸気系/排気パーツを組み合わせ、それに合わせたセッティングを施すことでさらに性能を引き上げるものだ(仕様のラインアップは車種によって異なる)。
さらに電気自動車のリーフ、シリーズ式ハイブリッド(エンジンで発電し、その電力を動力とする機構)のノートeパワーといったエコカーにも設定。モーター駆動と回生の制御を受け持つ「VCM(ビークル・コントロール・モジュール)」を書き換えることで、加速やレスポンスをスポーティな方向に変えている。チューニングショップではリーフやノートeパワーのチューンドコンピュータは用意されておらず、イチ早くリリースできるのは日産ワークスのニスモならでは。こうした点でも大いに魅力だ。
スポーツリセッティングを施工できるショップは、ニスモ大森ファクトリーと全国27店舗あるニスモパフォーマンスセンターに限定されるが、近くの日産ディーラーで受付し、大森ファクトリーに車両を運ぶことで施工はできる。
費用と時間は掛かってしまうが、全国どこでもニスモのECMチューンを味わうことが可能というわけ。チューニングを身近に、手軽に、安心して楽しめる入門アイテムとしてスポーツリセッティングの存在意義は大きいといえる。