「命がけ」で走るのは昔の話! サーキットで「高い安全」を確保してくれる「装備」とは (1/2ページ)

「命がけ」で走るのは昔の話! サーキットで「高い安全」を確保してくれる「装備」とは

スポーツドライビングでもまさに、備えあれば憂いなし

 自動車の歴史は、じつは事故やケガに対する「安全の歴史」という側面もある。交通事故を未然に防ぎ、さらには万が一事故にあったときには、ドライバーや同乗者の命を守り、できるだけケガを負わないように、自動車メーカーは常に「安全」に対するテクノロジーの進歩に全力を注いできたと言えよう。

 さて、今回はその「安全」についてだが、ここでは“モータースポーツ”という枠組みのなかでは、安全がどう捉えられているかをお伝えしつつ、いまどのような種類の安全装備があるのかを見ていこう。

モータースポーツにおけるマナーとしての安全装備

 さまざまな団体やサーキット施設などの努力によって、昔に比べて随分とハードルが下がってきたモータースポーツ。本格的なレースや競技への参戦を目指す人から、週末のレジャーとしてサーキットでのスポーツドライビングを気軽に楽しむ人まで、いまでは広く門戸が開かれている。

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安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 なのだが、やはり、機会あるごとに申し上げたいのが「安全」に関すること。モータースポーツが誰でも楽しめるレジャーになって行くのは喜ばしいことではあるが、そこ(安全)に対する意識の低下があってはならないのだ。モータースポーツに限らず、自動車メーカーが安全に対する開発の手を止めないのと同じように……。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 よく言われるのが、モータースポーツは「ひとりではできない」ということ。レースだって、ライバルがいてはじめて成立するし、練習でサーキットをフリーに走るときにも、コース上には自車以外にたくさんのクルマが走っていることがほとんどだ。つまりは、お互いの信頼関係がないとサーキットなど怖くて走れないということになる。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 モータースポーツでは、自分勝手な行動をとったり、安全装備のことを軽視したりするのは、信頼関係という目線では“マナー違反”であることをしっかりと覚えておきたい。自分自身がケガをするのは自業自得だが、サーキットに迷惑をかけたり、一緒に走っている相手や仲間を傷つけてしまうこともあるからだ。

安全対策の強化は、F1やインディでも同じ

 例えば、モータースポーツの頂点と言われているF1でも、安全対策の強化は同じだ。1990年代半ばから急速にドライバーの保護システムが進歩、確立されていった経緯がある。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 1980年代のF1マシンを見ると、ドライバーの頭部(ヘルメット)や肩まわりがむき出しになっているのが分かる。だが当時、飛躍的に速くなるF1マシンに対し、それでは万全ではないとの考えから、1990年代半ば以降、コックピットはドライバーをすっぽりと覆う形状に変わり、頭部まわりにはクラッシュ時の衝撃を吸収するエネルギー吸収パッドが装着されるようになった。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 そして、ハロ(halo)。F1の2018年シーズンから導入された、ドライバーの頭部を保護するためのデバイス。ドライバーの頭上に突如としてあらわれた、輪っか?  3本柱? の例のアレ。ドライバーの頭部めがけて飛んでくる障害物やガードレールへの衝突から身を守ってくれる安全装備のひとつ。導入当時は、見た目のダサさから批判も多かったハロだが、いまではハロのおかげで命を救われたドライバーも多くいて、ほとんどのドライバーから「優れた安全装置」であると、受け入れられているようだ。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 ちなみにアメリカのインディカー・シリーズでも、今年の2020年シーズンから、ハロ同様の役目を果たす保護装置として、エアロスクリーンが導入されている。

オススメしたい「ドライバー側」の安全装備

 ドライバー側の装備品とは、いわゆる「レーシングギア」という言葉で表現される、レーシングスーツ、グローブ、シューズなどのことだ。そのなかでも特に「安全」に直接関わるのが、ヘルメットとハンス(HANS・ハンズと濁音読みも)ではないだろうか。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 レースに限らず自動車の事故でカラダに大きな損傷を負うのは、間違いなく頭部や首(頸)部のダメージから来るもの。見た目には「その程度(速度)のクラッシュで?」というレベルでも、衝突時の衝撃で首が伸びて頭部をハンドルなどで強く打ち付ける可能性があることが、多くの研究結果により良く知られている。

 その頭部や頸部を保護するために開発されたのが、ハンスという安全装置。HANS=Head and Neck Support の頭文字から取られたネーミングで、日本語では「頭部前傾抑制装置」と解釈され、文字通り頭(首)が前に伸びない(引っ張られない)ように抑制する装置のことだ。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 しかし、HANSをシステムとして捉えた場合、HANSに対応するヘルメットをはじめ、ヘルメット側のアンカー、テザー(ヘルメットと結ぶヒモ)、4点式(5点式以上が望ましい)シートベルトなどと併用して構成されるため、FIA(国際自動車連盟)では、HANSをその一部とする「FHRシステム(=Frontal Head Restraint systems)」と呼ぶように定められている。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 国内のJAF公式レースでは、すでに「FHRシステム」の装着が義務付けられていて、レーシングドライバーがヘルメットと連結させたHANSを肩に背負っているシーンはもうおなじみだろう。昨今では、公式レースではなくとも、サーキットを走る場合には「HANSをつけるのはあたりまえ」と考えるドライバーが増えているのが実情。決して安くない投資だが、とても素晴らしいことだと思う。安全にサーキット走行をするために必要なドライバー側の装備とクルマ側の装備の紹介画像はこちら

 オススメしたいドライバー側の安全装備としてはズバリ「HANS」ということになるが、先にお伝えしたとおり、HANSを装着するには、HANS対応のヘルメット、レーシングハーネス(シートベルト)が必要になってくる。もちろん、それぞれひとつずつも重要な役割を果たしているのだが、いまやどれひとつ欠けてもダメで、FHRシステムとして構築するのがトレンドになってきているのは間違いないだろう。そこをケチる選択肢は、初心者にこそないのかもしれない。

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