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「万国博覧会」が名前の由来! 「まつ毛」が特徴のアルファロメオ「モントリオール」がもつ圧倒的な存在感

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了、FCA

新しい酒を旧い革袋に入れて市販に漕ぎつける

 しかし、大方の予想に反してアルファロメオは、モントリオールの市販化を進めていきました。見直されるべきはメカニズム、特にエンジンのスペックでした。そして実際“まつ毛”を配したヘッドライト周りの処理と、ドア直後の太いピラーに設けられたルーバー、さらにはドアウィンドウまで細部が見直されましたが、エクステリアデザインは基本、Montreal“Expo”の正常進化に留まっています。より現実的になったと言った方が分かりやすいかもしれません。

 その一方で、メカニズム関連は大きく見直されています。最大の変更点はエンジンでした。多くの販売台数を見込めないスポーツカーのために、全く新規のエンジンを開発する余裕(時間的にも資金的にも)がなかったからなのか、あるいはレーシングカーのイメージを強調しようとした結果からなのか、おそらくその両方でしょうが、市販型モントリオールのパワーユニットには、67年にデビューしたレーシングカー、スポーツ・プロトタイプ(グループ6)のティーポ33で使用されていた2Lツインカムの90度V8ユニットをベースに、ボアとストロークを伸ばして2.6Lまで排気量を引き上げた新エンジンが用意されることになりました。

 レース用のティーポ33は240馬力で、それを流用した市販レーシングスポーツのティーポ33クーペ(クーペ33ストラダーレ……25台生産してグループ5のホモロゲーション取得を目指していたとも噂されていました)でも230馬力を絞り出していましたが、市販型モントリオールのそれは、200馬力と大人しめのチューニングを施されていました。 ちなみにティーポ33クーペが230馬力を8800回転で絞り出しているのに対して市販型モントリオールは200馬力を6500回転で捻り出していて、24.0kg・m/4750回転の最大トルクとともに、極めて扱いやすいエンジンに躾けられていました。

 シャシーに関してはMontreal“Expo”から大きな変更はありませんでしたが、高速化に対応して4輪ディスクブレーキは全てベンチレーテッドタイプに変更され、ローターも大型化されていました。まさに新しい酒を入れるために、旧い革袋もちゃんと見直されていたんですね。 乗車定員は4名と謳っていますが、実際には2+2に過ぎないから大人4人の長距離ドライブは無理でしたが、リアシートに加えて後方にはラゲッジスペースも確保されていて、さらにリアのハッチゲート(ガラスハッチ)も開閉可能でしたから、軽くてコンパクトなバッグなら、ここからの出し入れも自由で、日常シーンでも充分使いこなせるスポーツカーとして約4000台が販売されています。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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