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「ロンサムカーボーイ」に「シティコネクション」! 昭和のクルマ好きが買い漁った「カーコンポ」5選

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

オーディオマニアがクルマにもこだわった名機

“カーコンポ”も、今や日常会話で滅多に聞かないコトバになった。“カーステレオ”でも“カーオーディオ”でもなく“カーコンポ”。もともとは音にこだわるオーディオマニアが、ホームオーディオでプリアンプ、パワーアンプ、デッキ、レコードプレーヤー、スピーカーと別々に揃え、自分だけの音の世界を作って楽しむスタイルおよび機器を“コンポーネントステレオ”と言い、そのクルマ版の呼び名がカーコンポになった。

 なので、ただの“カーステ”とは一線を画す、ちょっと贅沢なシステムのことを指していた。

ロンサムカーボーイ(パイオニア)

 そんなカーコンポの草分けが、パイオニアの「ロンサム・カーボーイ」だ。筆者の手元にある最古の(笑)カタログは1977年11月のもので、確かこれがロンサム……の最初のカタログだったと思う。

 120マイルをすぎると、エンジンの音だけでは寂しすぎる……当時、あの片岡義男さんの声でそんなナレーションが流れる何とも渋いCMがTVでもオンエアされていたのをご存知の方もおられると思うが、“カーステレオ”としてかなり大々的に広告を打っていたのが印象に残る。

 で、記念すべき最初の製品が、写真のオートイジェクト・FF・REW機構付きカセットデッキ、KP-55G。今見ると何でもないカセットデッキで、機能も低音/高音調節、ラウドネス等、ごくシンプル。が、ポイントはこのデッキを中心に他のユニットを組み合わせていくと、そこで初めてシステムが完成し、音楽が聴けるようになるということ。ロンサムカーボーイ(パイオニア)のカタログ

“コンポ”たる所以だが、最低限、チューナー、アンプ、そしてスピーカーを組み合わせる。筆者自身、TV用に“チャンネルつまみ”の付いたチューナーのルックスを初めて見た時にはスゴイ! と驚いたものだ。ロンサムカーボーイ(パイオニア)のカタログ

 スピーカーはドア埋め込み型のほかに、当時はまだセダンやクーペなどリヤトレイのある車種が主流だったから、据置き型と呼ばれるボックス型(マニアはエンクロージャーと言う)も用意。背面のブランドロゴが光ったりするのは後のことだが、存在感のある見た目でオーナーは“付けましたアピール”をしていたもの。

 ちなみに最初のカタログでも巻末には国産主要車種別にスピーカー適合の一覧表が載っていて、車種ごとに前後ドア、リヤトレイにそのスピーカーが取り付け可能かどうかわかるようになっていた。“カスタムフィット”と言って、標準装着のスピーカーを外せば同じネジ穴を利用して簡単にインストールできる設計のスピーカーが登場するのは、このずっと後のこと。ロンサムカーボーイ(パイオニア)のカタログ また新ブランド名の“カロッツェリア”が登場したのは1986年のことで、後にカーナビの分野でトップブランドへと発展したのはご承知のとおり。

 以下、カーコンポ黎明期に一世を風靡したブランドを駆け足だが振り返ってみたい。

シティ・コネクション(クラリオン)

 もともとカーステレオの分野では自動車メーカー純正品なども手がけていたクラリオン。カーコンポの流行を受けて最初に市場投入したのが“シティ・コネクション”だった。

 エマニエル坊やのCMが有名で、フルロジックと呼ばれた、僅かなストロークで切り替わる電気式スイッチを採用したフラットなパネル面や、LEDを使ったカラフルなグライコ(グラフィックイコライザー)などが売りだった。後にブランド名が“アゼスト”へ。シティコネクション(クラリオン)のカタログ

ケンウッド

 もともと音響メーカーだったトリオの海外市場向けブランドだった“ケンウッド”を、国内のカーオーディオブランドとして展開したのが始まり。ロンサムカーボーイ、シティ・コネクションと同様に、カーコンポを広くユーザーに広めたブランドのひとつだった。ケンウッドのカタログ 音響メーカーらしくグライコ、スペアナ(スペクトラム・アナライザー)などの音質調整機能にこだわりを見せた一方、KENWOODのロゴが光るイルミをスピーカーボックスの背面に組み込んだりと、今でいうエンタメ性の高さも特徴だった。ケンウッドのカタログ

アルパイン

 カーコンポの中ではややマニアックなテイストをw打ち出したのがアルパイン。パネル面に光るグリーンの四角いボタンがデザイン上のポイント。ホームオーディオにも通じる“Hi-Fiサウンド”を打ち出しにし、デザインも音も、きらびやかさよりもしっとりと落ち着いた方向性だった。ケンウッドのカタログ

 価格もそれなりで、カタログには低歪パワーアンプ3基を使うなどした総額50万円超えの推奨システムなどが載っている。“Juba(ジュバ)”は後に登場した同社のブランド。

ソニー

 実はソニーの大ファンだった筆者的にはかなり注目していたのがソニーのカーコンポだった。写真のカタログは1979年のものだから、案外と早くからこの分野に進出していたことになる。が、同社のホームオーディオを連想させるシルバーフェイスのクールなデザインは、いかにも当時のソニーらしいスタイリッシュさだった。ソニーのカタログ メディアは当初はカセットだけだったが、コンパクトディスク(最初のディスクはビリー・ジョエルの“ニューヨーク52番街”だった)を世に送り出したソニーらしく、カー用のCDプレーヤーもいち早くラインアップした。

 もしも本稿の“つづく”がお許しいただけるのなら、よりハイグレードなモデルや一風変わったモデル、昔のメディアなども振り返ってみたいと思う。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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