そして選手の皆さんの活躍を祈らずにはいられません。ただしクルマ好きとしては、何かオリンピックに関わるテーマでクルマ好きの話をしてみたい、と思っていたところテーマにピッタリのクルマが思い浮かびました。
その名もオリンピック、正確にはロッチデール・オリンピックという名のスポーツクーペです。
もともとはボディを製作する会社だった
オリンピックを製作したのはイギリスはマンチェスター近郊にあるロッチデールに本拠を構えるコンストラクターです。イギリスのコンストラクターと言えばレーシングカーだけでなくロードカーも数多く生産していたロータスが有名ですが、ロッチデールは正式な社名、ロッチデール・モーター・パネルス・アンド・エンジニアリングから分かるようにクルマのボディ(パネル)を製作する会社でした。
フランク・バターワースとハリー・スミスによって1948年に立ち上げられた会社は、そもそも暖房や換気システムなどを製作する傍らで、2人がレースで使用するボディパネルを製作していましたが、やがてそちらが本業になったという訳です。
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画像はこちら ロッチデールが最初に手掛けたクルマ(?)は、合金パネルを成形
したシングルシーター用のボディカウルでしたが、やがては軽量素材として注目を集
めるようになったグラスファイバー(GFRP=ガラス繊維で強化したプラスチック樹
脂)を使用したボディパネルを完成させました。
最初は強度が足りず、なかなか満足できる製品が出来上がりませんでしたが、1957年に登場したロッチデールGTでは初めてクローズドのクーペボディとしたことで満足できる剛性を確保し、大ヒットとなりました。
キットメーカーからコンストラクターへ発展
当初は、フォード・ポピュラーのフレームやエンジンなどの主要コンポーネントを組み込むキットカーでしたが、やがてロッチデールによるオリジナルシャシーも完成しています。キットカーメーカーから文字通りのコンストラクターへと発展していったのです。
そんなロッチデールの新しい一歩となった商品が1959年に登場したオリンピックで、ボディカウルだけでなくフレームまでGFRP(ガラス繊維強化樹脂)を成形して製作するというものでした。
モノコックまでGFRPで成形して仕上げるクルマと言えば、イギリスのキャラバンメーカー(=キャンピングトレーラー)のバークレーだ。同社はキャラバンを生産する過程で、自ら培ってきたGFRPのノウハウを生かすべく1956年から製造を始めた2シーターオープンのスポーツSA322や、ロータスが1957年にリリースした初代のエリートに次いで登場した。GFRP製コンプリートカーとしては草分け的なモデルでした。
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ちなみに、写真で紹介した赤いバークレーは、59年に登場したT60。タイのジェッサダー・テクニック博物館で出会った1台で、フロント2輪の3輪マイクロカーですが、GFRP製のモノコックを持っていることでは草分けの1台と呼んでいいでしょう。また緑のロータスはビューリー国立自動車博物館で出会ったエリートのフェイズII(後期モデル)です。
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