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和製スーパーカー「童夢-零/P2」でお馴染み! 童夢が日本のレース界に残した「2つの功績」とは

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了/童夢/トヨタ自動車

功績その2:繊維メーカーと協業で軽量素材を開発

 童夢の、もうひとつの大きな功績は新素材の開発です。具体的にはカーボンファイバー(炭素繊維強化樹脂、CFRP=Carbon Fiber Reinforced Plastics)など軽量高剛性な複合素材の研究開発ですが、レーシングカーも含めてクルマ関連では70年代辺りから、グラスファイバー(ガラス繊維強化プラスチック、通称“FRP”)で軽量なカウルを製作するところから始まっていました。東レの誇るカーボンファイバー 一方、航空宇宙関連で実験的に使用が開始されたCFRPは、80年代にはレーシングカーへの採用が散見されるようになり、1981年にはF1GPマシンで初となるCFRPモノコックを採用したマクラーレンMP4が登場。またレーシング・スポーツプロトタイプのグループCでは、85年に登場したジャガーXJR-6がカーボンモノコックを採用した先駆けとなっています。

 童夢が製作したグループCカーでも、それまでに部分的にCFRPを使用することはありましたが、1988年シーズンに向けて開発したトヨタ88C-Vで初めてカーボン・モノコックを採用。世界的にも速い段階での採用となっていました。カーボン・モノコックを初採用したトヨタ88C-V  その後全日本F3000で実戦参加を続けながら研究開発を続けて、1994年にはチャンピオンを獲得しています。そして1996年にはテスト用のF1マシンも制作し、その技術とノウハウをアピールしていました。テスト用のF1マシン、ドームF105  その後もF3000クラスのMLやミドルフォーミュラのFD、F3のF107など数々のフォーミュラを開発し、その一方でル・マン24時間を筆頭とするスポーツカーレース用のレーシング・プロトタイプを開発して実戦を戦ってきました。

 さらに2015年シーズンに始まったFIA-F4による全日本選手権では、エンジン・サプライヤーのトムスやトランスミッション・サプライヤーの戸田レーシングなどと共同で、ワンメイク・シャーシとなる童夢F110・トムスを供給。F4マシンの童夢F110・トムスさらに昨年から始まったフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ用に童夢F111/3(エンジンはアルファロメオ製 1750cc 直4 ターボのワンメイク)の供給を開始しています。フォーミュラ・リージョナルの童夢F111/3

 こうしたワンメイクシャーシの供給と並行して、SUPER GTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)と協力してGT300クラスの参戦車両を自作するためのベースとしてマザーシャーシ(カーボンモノコックにGTAで手配した自然吸気の4.5L V8エンジンを搭載する)を開発供給するなど、2014年からは新しい展開も進められています。GT300クラスのマザーシャシー

その偉大な功績に敬意を表したい

 童夢-零を製作したカロッツェリアとして第一歩を踏み出した童夢は、続いて童夢 P2を製作し、さらに80年代の終りにはジオット・キャスピタなど魅力的なロードカーをいくつも生み出しています。童夢P2

 ですが、創設者である林みのるさんのレース好き、レーシングカー(作り)好き、という嗜好を反映してか、それ以上に多くのレーシングカーを誕生させてきました。そしてそれらに共通するテーマが空力の追求と新素材の探求、でした。米原にある童夢の風流舎

 今回その歴史を振り返ってみましたが、その功績の大きさと、足跡の素晴らしさには改めて感心せざるを得ません。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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