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「なんちゃってSUV」の先駆け! 爆売れした「初代RAV4」の「ヒットの秘密」

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: トヨタ

デビュー当時は3ドアのみだった

 初代RAV4のボディサイズは全長3695×全幅1695×全高1655mm。現在発売中のダイハツ・ロッキーが全長3995×全幅1695×全高1620mmだから、じつはロッキーよりもコンパクトだったのだ。トヨタ初代RAV4 エンジンはデビュー時、2L直4の3S-FE型のみの設定で、最高出力135ps/6000rpm、最大トルク18.5kg-m/4400rpmを発揮(のちに3S-GE型:180ps/20.5kg-mを追加)。トヨタ初代RAV4 トランスミッションは5速MTと4速ATが用意され、新開発のサスペンションはフロントがストラット式、リヤはダブルウィッシュボーン式を採用。全車4WDのみの設定で(のちにFFも設定)、MT車にはメカニカル・デフ・ロック機構を装備。トヨタ初代RAV4 当時のRV支持派からは「しょせんシティRV(街乗りのかっこだけ)」などと言われたものだが、マッド&スノータイヤの標準装備などもあって、じつは現在の一部のSUVよりもよほど実力派といえる内容だった。トヨタ初代RAV4 エアバッグやABS、トルセンLSDはオプション装備だったことが時代を感じさせるが、ディーラーオプション数は100を上まわり、自分の好みに仕上げられる自由度の高さもあった。

 こうしたことから、当時のカローラ店販売仕様のRAV4 L(Liberty)、トヨタ・オート店販売車RAV4 J(Joyful)の月販目標台数合計2000台ではとても収まることなく、多くのバックオーダーを抱えることとなる。欲しくても買えないユーザーがあふれたのだ。

5ドアの追加でさらに人気がアップ

 デビュー直後から人気モデルとなったRAV4は、人気がひと段落するころの1995年に、ホイールベースを200mm、全長4115mmに拡大した5ドアボディのRAV4 Vを発売する。トヨタ初代RAV4 後席用のドアがあるならば欲しいというユーザーに訴求できるモデルが追加されて、人気はさらに加速。RAV4はトヨタを代表する一台となるのである。

 当時の販売店に話を聞いた話では、意外にもマーク2やカムリといった4ドアセダンからの代替えも多く、安価なRAV4が人気になると、販売店の売り上げが困るというセールスにはありがた迷惑なエピソードが……。これはRAV4が新しいクルマの形を示した証拠だろう、トヨタという会社の先見性をうかがわせてくれる。

 そして1996年にはRAV4L EVを発売。世界で初めて大容量かつ長寿命のニッケル水素電池を搭載し、高効率永久磁石式同期モーター、高性能回生ブレーキを備えたEVで、一般電源での充電も可能にした仕様だった。トヨタ初代RAV4 最高出力45kW、最大トルク165N・mのFFモデルであったが、貴重なデータを集めるモデルとして活躍した。トヨタ初代RAV4 価格は495万円で、目標販売台数は年間100台。実際にどれだけ売れたかはわからないが、トヨタは貴重なデータを集めたに違いない。

 RAV4は現在のSUVと呼ばれる人気ジャンルの先駆けであり、海外での人気も高い。世界的にトヨタを代表するモデルの一台といってよいだろう。

 そうそう、デビュー時はオジ様からの熱い視線と記したが、自動車雑誌でオーナー座談会を企画したら、驚くほど若い女性の方の応募があってぴっくり。彼女らはCMキャラクターのキムタクのファンだから、が理由の一番だったが、若い女性がクルマの本を読んで応募してくれたことにも驚いた。クルマ好きも自動車雑誌を読むのも男性。そんな思い込みを覆してくれたのが初代RAV4だった。

 

■トヨタRAV4

全長×全幅×全高:3695×1695×1655mm

ホイールベース:2200mm

車両重量:1150kg

乗車定員:4名

エンジン: 3S-FE 直列4気筒DOHC

総排気量:1998cc

最高出力:135ps/6000rpm

最大トルク:18.5kg-m/4400rpm

タイヤサイズ:前/後 215/70R16

ブレーキ:前/後 ベンチレーテッド・ディスク/ディスク

サスペンション:前/後 ストラット式/5リンクダブルウイッシュボーン式

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