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ナゾの「神奈川県警察」フェアレディZも発見! アメリカの「日本旧車」ファンたちが熱すぎた

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TEXT: 池畑 浩  PHOTO: 池畑 浩

顔を赤らめて喜ぶ「トヨタ・セラ」マニアのオジサン

 果てしなく広い会場内に溢れるJDMに目を奪われながらも、目に留まって声をかけたのは、自慢気に高々とガルウイング・ドアを跳ね上げて展示していた「トヨタ・セラ」のオーナーさん。完璧なJDMで、当時の純正オプション・スピーカーまで装備していた。

極上コンディションのトヨタ・セラ

 オーナーのオジサンに話を聞いてみると、「これは6年前に、ある日本車のコレクターから譲ってもらったんですよ。書類にカタログ、全部揃ってますよ。当時の純正オプション・スピーカーも付いてるんです。あと、これは何かの書類入れかな……。名刺もあります」

 名刺が、当時のビスタ店の担当セールスとサービスフロントの名刺で、残念ながら日本ではこの販売チャンネルは今はもう無いことを教えてあげると、日本から来たわれわれにオジサンから質問がきた。

「前から知りたかったことがあるんです。エンジンをかけるときに、どこかで何かしゃべってるようなんですよ」とオジサンが大きなおなかを抱えてクルマに乗り込み、イグニッションをONにすると……「ピーッ! ETCカードが挿入されていません」

 これが「ETC」という日本の有料道路の自動集金システムのことだと説明したところ「おぉ、そうなんですか! それはスゴイ!」とオジサンは大きくうなずくと、明らかに顔を紅潮させて、長年の「ナゾ」が解けたことにニコニコ顔で喜んでいる。横にいた友達も同様に、首を縦に大きく振ってうなずいていた。

オーナーにとって謎の機械だったETCの使い方を教えると歓喜

 そこで、筆者と同行した友人が、オーナーにETCカードを見せてあげて、「せっかくだから、ETCカードを挿すところをiPhoneで撮っといたらどうですか?」と、オジサンに提案すると、嬉しそうにカメラを起動させた。そして、いざ、カードを挿入すると……「ETCカードが挿入されました。有効期限は〇〇年〇〇月〇〇日です」

 オジサンは「おっ、いつものと違うぞ。何て言ってるんだろう?」と興奮。どんな内容を機械がしゃべっているのか伝えると「そうなんですね、すごいな!」

 相当に嬉しかったのだろう。オジサンはますます顔を真っ赤に染め、目尻を思いっきり下げて、子どものようにクルマから飛び降りると「長年のナゾが解けてとてもスッキリしたよ。どうもありがとう。本当に助かったよ!」

 異国の地で、人様のお役に立てた満足感(?)に、こちらもますますニコニコ。「やっぱ、JDMファンには、正しい日本語を知ってもらい、使ってもらった方が良いのかなぁ……」と、もう、適当なのが良いのか? 正しいのが良いのか? わからなくなっていくのだった。

やはり「Z」は別格だった!

 先日、北米で次期型の「Z」が先行発表され大きな話題になったが、やはりここ「JCCS」の会場でも「Z」は別格な存在で、多くの「Z」ファンが自慢の愛車で集まり、自慢話や情報収集に花を咲かせていた。

 なかでも目をひいたのが、ボディサイドにでかでかと「神奈川県警察」と入ったパトカー仕様の「Z」。オーナーさんに話を聞いたら、「うちの息子もZに乗ってるんだよ」と親子で筋金入りの「Z」ファンだという。このオーナーさんには、「すごくリアルなパトカーだけど、この“察”は要らないね」とお伝えしたが、ここまでくるともはや「大きなお世話だな」と、思うようになってきた。

「神奈川県警察」と書かれたZ

 そして、「Z」ファンの情熱極まれりというのがコレ。今では輸入車でも「シューティグブレーク」という車形が車名となって販売されているが、なんと初代「Z」でこれを再現してしまった人がいるというのだから驚いてしまう。

Phantom Z Sport Wagonという幻のモデルを実現

「Phantom Z Sport Wagon」という名が付けられたこの「Z」は、昨年7月に逝去された初代「S30 Z」のデザイナー、松尾良彦さんが描いたドローイング・スケッチのなかにあったものだそう。2014年にアメリカのJDMパーツ&レストアラー、ジェイ・アタカ氏によって造られた、まさに当時の松尾氏の夢を叶えた唯一無二のカスタム・モデルだと言うのだ。

 日本でお目にかかることはないと思われるだけに、初めて知ったこの幻の「Z」を通じて、あらためてアメリカの「Z」人気の奥深さを思い知らされたのである。

Zのシューティングブレーク・スタイル

どこまで行く? JDM人気

 さてさて、見るものすべてが新鮮と驚きの連続だった今年のJCCSだが、ある特定のファンだけのものだとしても、とにかくあらゆるスタイルの「JDM」が、アメリカ人のカーライフのなかに息づいていることを嬉しく感じるとともに、羨ましく思えてきた。アメリカでの日本車の販売台数は全体の約4割にも達するというのだから、JDMの将来は安泰とも言えようか。

出所不明な日本のナンバーを付けているクルマも

 そんなJDM人気だが、この先いったいどこまで行くのだろうか? また、どう進化していくのだろうか? 参加者の何人かに尋ねてみると、皆口を揃えて「可能な限り、日本仕様にしたい」という返事。それこそ「25年ルール」を過ぎてさまざまなクルマがアメリカに渡ってきているようで、会場内でも何台もの程度の良い右ハンドル車を見て驚いた。

「東京420……」と黄色の怪しいフェイク・ナンバープレートを付けた青いホンダ・アクティのオーナーさんは、目のクリっとした東洋系の女の子。右ハンドルの軽自動車だったので、さっそく「良い色ですねぇ。でも、これはカリフォルニアじゃ、登録できないでしょう?」と聞いてみた。

「う~ん、あたしは良くわからないけど、毎日、コレでフリーウェイをぶっ飛ばしてるのよ」

 じっさいに軽自動車が登録できるかどうか真偽を確かめるまでには至らなかったが、満面の笑みで答える彼女がウソをついているようには思えなかった。もちろん州によって異なるだろうが、仮にカリフォルニアで軽自動車も登録できるのであれば、新しいJDMとしてブレークしそうな気もしないでもないが、皆さんはどう思われるだろうか?

このアクティ、黄色い軽ナンバーを付けて走っているという

 日本仕様に近づけるアイテムとしてはナンバープレートだろう。多くはフェイクのナンバープレートを付けているが、なかには本物もある。よく見れば、前後バラバラのナンバープレートだったり、乗用車なのに分類番号が「11」だったり。日本でも同様にEUのナンバープレートを付けてるクルマも散見するので驚かないが、さすがに、封印付きのままの右ハンドル車や赤斜線のディーラーナンバーという強者もいたのには驚いた。全体的に、日本仕様の雰囲気を楽しむ陽気な感じなのだが、リアルさを求めるこだわり屋さんがいるのも事実なようだ。

フェイクの日本語ナンバープレート

 いずれにしても、1日でも回り切れないほどの多種多彩なJDMに驚いた。それはまさにアメリカの多様性を反映しているもので、これに対応してきた日本の自動車メーカーの努力はどれほど苛烈だったか、想像に難くない。

 しかしながら、いまや日本から貴重な旧車をはじめ程度の良いチョイ古クルマがどんどんと海外に流出していくなかで、ある意味で残念と思う反面、こうした受け皿があって、第二の「車生」をオーナーとともに歩めるのであれば、クルマにとっては良いことなのかな? と、なんとも複雑な気持ちで会場を後にしたのであった。

アメリカで第二の「車生」を送る日本車たち

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  • ダットサン・フェアレディのオーナーたち
  • ロサンゼルス郊外アナハイムのスタジアムで開催
  • ピーターセン・オートモーティブ・ミュージアムには「VIP」や「BOSOZOKU」といった項目も
  • カミカゼ・スタイルのダルマ・セリカ
  • 意味不明な日本語ステッカーやTシャツ
  • トヨタ、日産、横浜ゴムなどメーカー系も出展
  • 極上コンディションのトヨタ・セラ
  • オーナーにとって謎の機械だったETCの使い方を教えると歓喜
  • 「神奈川県警察」と書かれたZ
  • Phantom Z Sport Wagonという幻のモデルを実現
  • Zのシューティングブレーク・スタイル
  • アメリカで第二の「車生」を送る日本車たち
  • このアクティ、黄色い軽ナンバーを付けて走っているという
  • 出所不明な日本のナンバーを付けているクルマも
  • フェイクの日本語ナンバープレート
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