人気旧車「ハチロク」「ランタボ」「CR-X」買ったらどうなる? 意外とシビアな「維持のホンネ」最大の敵は「重税」か? (3/3ページ)

「よろしくメカドッグ」で一世を風靡したバラードスポーツCR-X

 同じく、コミック&アニメの中で存在感を放っていたネオクラ車がホンダCR-Xです。サブネームは「バラードスポーツ」略して「バラスポ」です。

 登場していた作品は「よろしくメカドッグ」です。デビュー間もないバラスポが何と劇中ではミッドシップに改造されていました。しかしのちに、実際にミッドシップ化を手掛けるチューニングショップが登場しました。たんなるファンタジーだけでなくリアルにも影響を与えていたのです。

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バラードスポーツCR-X画像はこちら

 樹脂を多用し800kg前後というライト級の車重に加え、シリーズ途中で追加されたホンダとして14年ぶりのDOHCエンジンが話題となり、同極のシビックとともに一時代を築きました。シュッとした面構成と、一部グレードに採用されていたデジタルメーターの背伸び加減も、当時の空気を反映しています。

 そんなバラスポを愛し抜く有名人、B.B伊藤嘉啓さんにお話を伺いました。ZC型1.6L DOHCエンジン画像はこちら

 伊藤さんのバラスポの走行距離は2021年11月現在で、何と76万km。プロカメラマンという職業柄、全国各地へ移動するため距離はいまでもどんどん伸びています。それでもしっかりと完調を保っています。

 伊藤さんは1.6LのDOHCエンジンを搭載するSiですが、燃費はふだん乗りで15~16km/Lで、エコランに気を遣えば20km/Lを記録することもしばしばだそうです。

 しかしどうやら、安心して乗り続けられる状況ではないそうです。「純正パーツの供給は、ほぼ絶えています。エンジンをオーバーホールするためのパーツもほぼ皆無ですし、ドライブシャフトなど駆動系パーツもとっくに製廃になっています」(伊藤さん)バラードスポーツCR-X(後期)画像はこちら

 安全に止まるために欠かせないブレーキまわりは唯一、ローターが同径の社外品が存在するだけで、キャリパーやマスターは、適合する他車種用を探すしか道がないそうです。ドライブシャフトは、ブーツの供給すらないので、形状の似た他車種用を流用しています。北米では互換パーツがあるらしいですが、品質にバラつきがあり安易に手を出さないほうがいいそうです。このように、涙ぐましい努力が必要のようです。

 外装パーツについては、純正から型取りしたFRP製の復刻パーツが、オーナー間で出回っているということです。経年でどうしても割れが発生するだけに、ここは重宝しているとのことです。

サスなどはO/Hでリフレッシュできるもパーツ供給に不安が募るホンダ車

 足回りに関しては、純正形状ならKYBからリリースされているので救われる部分ではあります。好みの減衰でオーダーできるエナペタルやオーリンズもあり、こちらも装着オーナーは多いとのこと。伊藤さんの足はエナペタルで、もう4回もオーバーホールをしているそうです。

「もともとパーツ供給については不安のあったホンダですが、2019年あたりからのホンダ系サプライヤー再編がトドメになりましたね。ケーヒン、ショーワ、ニッシンのパーツについては、ほぼ復刻の可能性は絶たれたカタチです」(伊藤さん)バラードスポーツCR-X(コクピット)画像はこちら

 そして残念ながら、バラスポを含めた当時のホンダ車に精通したプロショップはめぼしいところが無いのが現状です。仲間同士の横のつながりと、創意工夫で乗り越えるしかなさそうです。バラードスポーツCR-X(リヤ)画像はこちら

 また、正式には後継をうたっていませんが、バラスポの幻影を色濃く残すCR-Zが世に出たのは2010年でした。往年のファンは色めき立ちましたが、ふた回りは大きいボディサイズ、ハイブリッド化などに起因する1100kgという車重は、ファンの心を射ることなく静かに生涯を終えました。リ・エンジニアリングの難しさもまた、体現したモデルがバラスポなのです。

登場時の衝撃はランエボ以上!? ラリーシーンで存在感を示した「ランタボ」

 その響きも懐かしい「フルラインターボ」。かつて三菱が打ち出していた、すべての車種にターボエンジンを揃えていたマーケティング策です。軽自動車のミニカからフラッグシップスポーツのスタリオンまで、もれなくターボを搭載しアピールしていました。ランサーターボ(ラリー車両)画像はこちら

 その高性能を見せつける格好の場がラリーでした。そこで活躍したのがランサーEXです。実戦に投入されたのは欧州仕様の4G63型2Lターボエンジンでしたが、日本仕様はG62型1.8Lターボ。このため外観だけでも欧州仕様に近づけようと、レプリカバンパーへの換装も往時は流行しました。ランサーターボ(レプリカバンパー)画像はこちら

 ランサーEXターボ、略して「ランタボ」。この略した愛称は90年代の「ランサー・エボリューション=ランエボ」に受け継がれていきます。

「ランタボ」などネオクラ世代を悩ますのは機関系よりも「錆」がネックに!

 ランタボも、根強いファンに支えられています。乗り続けるためにネックとなるのは機関系トラブルよりもボディの錆です。前期モデルではその発生箇所は多岐におよび、Aピラー、ルーフにはじまり、雨漏りによりフロアやトランク内のクサリなど、全方位にわたってチェックが必要になるといわれています。4J10型 1.8L直4SOHCターボエンジン画像はこちら

 1985~1986年あたりの最終型ではそのあたりを踏まえての防錆対策が施されたようですが、ただでさえ流通量が少ないランタボ。最終型に絞って探すのは至難の業でしょう。ランタボ(フロントスタイル)画像はこちら

 専門ショップの代表に挙げられるのが「ECI-TURBOプロショップ シリウス」(埼玉県草加市)。ネオクラ車の鉄則として、頼れるショップと二人三脚はマストです。

 いずれにせよ、40年近く前のクラシックカーを愛でるというのは、ある程度の覚悟とそれなりの財力が必要ということがわかります。ただ、リペアやレストアに関しての技術力は日進月歩です。SNS等でのパーツ供給に関しての情報共有もやりやすくなりました。旧いクルマを乗り続けることのできる環境は、昔よりも格段に整っています。ランタボ(リヤスタイル)画像はこちら

 たとえば80年代に、50年代のクルマがこれほどまでに街を走っていたでしょうか。トラブルを抱えた車両は自然淘汰されて行き、現存する車両は一定以上の程度を保った車両、という見方もできます。ネオクラ車を愛で続けること。これぞSDGsといえるのではないでしょうか。そう考えると、つくづく自動車税・重量税の重課税が悔しく感じられますね。

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