まずはここから手を付けるという人も多い
チューニングの第一歩と言えばマフラー交換。排気管の消音器の抵抗を少なくすれば、エンジン内から効率よく排気ガスが掃気され、その分エンジンにはフレッシュな空気が入り、酸素がたくさん吸気されるので、その分よく燃えてパワーアップする、というのが基本的な原理。
純正マフラーは隔壁構造と呼ばれる内部構成になっている。例えるなら、四畳半の部屋のドアから入った排気が反対側のドアから出て、今度は隣の六畳の部屋に入った排気が、90度ターンしたドアから出て、さらにせま~いお風呂場を抜けてから外に出ていくようなイメージ。せせこましいアパート内を彷徨ううちに排気の勢いは衰え、同時に音も静かになるということ。
とにかく消音させる純正に対して排気効率を重視
対するチューニングマフラーでおもに使われているのは、ストレート構造と呼ばれるもの。サイレンサー内を穴のたくさん空いた筒が真っ直ぐに通り、そこのなかを排気ガスが通る。筒の周りにはグラスウールが敷き詰められ、その布団のようなウールに音を吸収させる。チューニングマフラーでも隔壁構造を採用することもあるが、遥かに広い大広間を排気ガスが通過するようなイメージで効率がいい。
とはいえ、現代の車両は排気音量の加速騒音試験があり、これを取得しないと公道で使用することができない。これが難敵で、昔に比べれば遥かに静かでなければならない。各社企業努力もあるが、昔ほどヌケヌケの排気効率にすることはできないのだ。
しかし、チューニング業界も規制に負けてはいられない。効率良い消音方法を生み出している。盲腸のような行き止まりのサイレンサー(タイコ)を付けることで気になる周波数を打ち消して、効率を落とさずに消音したりしている。それらの効果によって排気効率のアップを図っているのだ。
90~00年代のチューニングカー、とくにターボ車ではマフラー交換で20~30psアップと言われた。現代ではそもそも純正マフラーの進化も激しく、そこまでの伸びしろはない。実際、2~3ps向上という場合も多い。しかし、それは数字の話。低回転からアクセルを全開にしたときの出力を計測したときの差であり、アクセル操作に対するレスポンスは数字に現れない。