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いいクルマが成功するとは限らない典型例! スカイラインクロスオーバーが日本から消滅したワケ

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe Web編集部

  • スカイラインクロスオーバーの走り

  • スカイラインクロスオーバーの走り
  • VQ37
  • スカイラインクロスオーバーのタイヤとホイール
  • スカイラインクロスオーバーのリヤスタイル
  • スカイラインクロスオーバーのフロントスタイル
  • スカイラインクロスオーバーのインテリア
  • スカイラインクロスオーバーのATシフトセレクター
  • スカイラインクロスオーバーのフロントスタイル
  • スカイラインクロスオーバーのアラウンドビューモニター

名門スカイラインの名を冠したクロスオーバーSUVが日本で失敗した理由とは

 V6エンジン搭載の新世代スカイラインとなった日産スカイラインの第2弾として登場し、2006年に北米で先行発売されたSUVがスカイラインクロスオーバーだ。北米では日本のスカイライン同様にインフィニティブランドでEX35として販売、日本では2009年7月に発売となった。

北米での確かな成功を受けて日本市場でも販売される

 特徴はかつて日本でも販売されていたムラーノのような流麗なスタイリングを持ち、スポーティさとRVの融合を感じさせる、まさにクロスオーバーの名に相応しい力強さもあったことから、北米市場で大ヒット。SUVであり、その人気を受けて日本でも発売されるようになった。スカイラインクロスオーバーのフロントスタイル

 じつはこのころは、日産もトヨタのレクサスに倣ってインフィニティブランドを展開されると噂されていた時期。しかし日産ブランドでスカイラインクロスオーバーが登場したことで、インフィニティブランドの国内投入がないことは確実になったのだが、その実力は優れたものであった。

 スカイラインクロスオーバーはムラーノがFFベースであることに対して、基本となるプラットフォームは日産がスカイラインやフーガのために新設計したFR用をSUV仕様に構築。サスペンションは前輪ダブルウィッシュボーン式で、後輪が新しいレイアウトのマルチリンク式を採用している。操縦安定性と乗り心地に貢献するデュアルフローパス・ショックアブソーバもあって、225/35R18という当時としては大きくて重たいタイヤを難なく履きこなす。現在でも大排気量となる3.7LのVQ37VHRエンジンの高出力を発揮できる仕上がりであった。

スカイラインクロスオーバーのタイヤとホイール

環境性能と扱いやすさの両立を実現したVQ37VHRエンジンを採用

 搭載する3.7L V6のVQ37VHR型エンジンは最高出力330ps/36.8kg-mを発揮する高性能エンジンであり、長期に渡って北米では高評価された人気のエンジン。日産自慢のVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)も相まって、2400~7000rpmの間で最大トルクの90%を発揮する扱いやすさを備えていた。それでいて日本の平成17年基準排ガス低減レベルの75%をクリアしており、高性能さと環境性能を両立した。ムラーノと違いFRがあるほか、ムラーノの4WDがオールモード4×4に対して、クロスオーバーはアテーサE-TSを採用。FRベースの4WDもスカイラインを名乗るにふさわしいものだった。VQ37VHR型3.7L V6エンジン

 トランスミッションはマニュアルモード付の7速ATとなり、ムラーノがCVTベースであったことに対してトルコンAT(ムラーノにもトルコンはあったが7速はなし)であることから、CVTに馴染めないユーザーにも評価され、Dレンジで待機している信号待ちなどではエンジンとトランスミッションを切り離して燃費を向上させる機能までも備わっていた。スカイラインクロスオーバーのATシフトセレクター

先進安全装備に加えて上級クラスの快適性も備えていた

 安全装備も高級インフィニティブランドならでは。アラウンドビューモニターや車線逸脱防止支援システム及び、警報などのLDP(車線逸脱防止支援システム)、LDW(車線逸脱警報)などを設定。FCW(前方車両接近警報)、インテリジェントクルーズコントロール、さらには小学校が近くにある道を走行する際に、安全運転の注意を喚起するなどの先進安全装備を備えていた(一部オプション採用)。スカイラインクロスオーバーのアラウンドビューモニター

 インテリアも操作性や上級クラスに見合った長いアームレストと高級材であるカーリーメイプルを用いた木目材などでラグジュアリー感を演出。電動のリモコン可倒式後席6:4分割シートや、インテリジェントキーを持って車両に近づくと、ドアミラー内蔵のランプや室内灯が点灯して夜間の乗降をサポートするウェルカムライトが点灯するなど、欧州のプレミアム勢に負けない装備を誇った。スカイラインクロスオーバーのインテリア

 もちろん当時の最新であるキセノン式(HID)ヘッドライトや、サイドブラインドスポットモニター、バックビューモニター、サイド&カーテンエアバッグも備わって、プレミアムSUVとしての実力は高く、北米で成功した性能は伊達ではないことを示していた。

プレミアムカーとしての実力は十分に備わっていたのだが……

 ここで当時の筆者の思い入れとなるが、スカイラインクロスオーバーが発売されたことで「こうして名車の車名は引き継がれていくのだろう」「いつの間にか世代によってのスカイラインのイメージが異なることになるだろう」と感じたものだ。日本でも人気だったムラーノよりも上級であり、なによりスカイラインという最強のブランドがある。もちろん欧州のプレミアム勢と比較すれば物足りない点があるものの、かつてのRVブームの時代に、日産テラノが北米では子どもの送迎車として人気だったという過去を振り返ると(他社も同様だが)、ムラーノ、そしてスカイラインクロスオーバーが人気なのも納得。実力は高くてその流れが日本にも押し寄せてくるのは時間の問題だと思っていた。スカイラインクロスオーバーのリヤスタイル

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