聴覚障害者標識を付けずにクルマを運転すると違反行為になる
15年ほど前から、聴覚に障害を持つ人も、目で周囲の様子を確認できる広角のミラーを取り付けることにより、普通乗用車の運転免許を取得できることになった。しかし、こちらの場合は、蝶の図案の聴覚障害者標識をクルマに付けて走ることが条件となっている。つまり、義務なのだ。
したがって、万一、聴覚障害者標識を付けずにクルマを運転すると違反行為となって、行政処分点数1、反則金4000円となる。
のちに、普通貨物車や原動機付自転車、小型特殊車、大型自動二輪、普通自動二輪の運転もできるようになった。この場合も、聴覚障害者標識をつけての運転になる。標識の取り付け場所は車体の前後で、地上40cm以上、1m20cm以下の範囲とされる。
幅寄せや割り込みをすると罰金が課せられる
聴覚障害者標識の貼り付けが義務化されることにより、この標識を付けたクルマや2輪車に、ほかのクルマの運転者が幅寄せをしたり割り込みしたりすれば、反則行為となって、行政処分点数1点、反則金は普通車と2輪車が6000円、大型車は7000円、小型特殊車は5000円になる。
聴覚に障害を持ちながら運転する人に標識貼り付けの義務があるように、それを確認できるほかの運転者に違法行為がないよう促すことで、安心して障害を持つ人がクルマで移動できる交通社会をつくろうというのである。
しかし、障害を持つ人の標識が白の四つ葉のクローバーで、聴覚障害の標識が黄色の蝶の絵柄であることは、初心者マークや高齢者の標識に比べ、認知度はまだ低いようだ。ぜひとも覚えておいてほしい。
同時にまた、標識がなければ、幅寄せや割り込みなどが日常的に行われている実態もあるだろう。本来は標識がなくても、老若男女、健常者と障害者の区別なく、安心してクルマを運転できる交通社会であり、運転者同士の連帯意識が重要なのだと思う。