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1000万円以下で泥沼フェラーリ生活!? 素人が手を出してはいけない4座フェラーリ「365GT4 2+2」とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2022 Courtesy of RM Sotheby's

ゴールドボディはエレガントの極み!

 今回RMサザビーズ「MONACO」オークションに出品されたフェラーリ365GT4 2+2は、このモデルとしては最終期にあたる1976年型。パリのフェラーリ正規ディーラー「シャルル・ポッツィ」から新車としてデリバリーされたのち、現在に至る生涯の大半をフランスで過ごしたと考えられている。

 2021年3月に提出されたインボイスによると、この365 GT4 2+2は希少なオリジナルカラーの「オーロ・ケルソ(ゴールドメタリック)」に再仕上げされており、ブラックレザーのインテリアがみごとな対比を見せる。

 ハンサムでありながら控えめなこの365 GT4 2+2のピニンファリーナ・ラインは、クロモドラ社製の純正アロイホイールがその魅力にさらに磨きをかける。

 一方インテリアも新車時の仕様を反映しており、ウッドトリムのセンターコンソールにはテープデッキ式のサウンドシステムを搭載。スペアホイールや、キャビン内にはかなり旧式の自動車電話も装備されている。

 さらに今回の出品時には、シャシー/エンジン/ギヤボックス/リヤアクスルがすべてマッチングナンバーであることが確認できる、フェラーリ本社発行のファクトリー・ビルドシート(製造記録)が付属されていた。

 2022年春、同じRMサザビーズがフランスで開催した「PARIS」オークションでは1976年型の365GT4 2+2が5万5200ユーロ、当時の日本円換算では約730万円でハンマーが落とされたのだが、今回のモナコでは遥かにコンディションの良いこの個体が6万9000ユーロ(邦貨換算約965万円)というリーズナブルな価格で落札されることになった。

素人は手を出しちゃダメ! その真実とは?

 ただしここで言っておかねばならないのは、たとえ買い値が安価だとしても、そのあとに要する経費は、同じフェラーリでもV8モデルよりもさらに高価になることである。少なくとも、クラシック・フェラーリのビギナーに好適とはいいがたい。

 当時のフェラーリではフラッグシップの座にあった365GT4 2+2は高級モデルであるゆえに、1960年代以前のフェラーリに比べて電動ないしは油圧システムの採用部位が大幅に増えた。それにもかかわらず、組みつけの精度などは手作りの域を出ないことから、新車の時代からトラブルがついて回るモデルだった。

 筆者は1990年代初頭に当時のフェラーリ日本総代理店、コーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)に籍を置いていたのだが、当時のサービス部門担当の先輩たちが、365GT4 2+2はもちろん、進化版の「400i」や「412」ですら同じ時代に販売されていた「F40」よりも手ごわい……、とこぼしていたことが思い出される。

 つまり、一定以上のフェラーリ歴を経たベテランが、覚悟を決めて手に入れるべきモデルなのだが、それでも圧倒的というほかないイタリア的エレガンスの粋、あるいは美しさが自分のものになるならば、出費の手間など厭わないといわせるだけのものがあるのも間違いのないところ。これもまた、旧き良きフェラーリの特別な世界なのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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