ヘッドライトはZ1ロードスターを流用
通常のオークションとはことなり、「シールド・ビッド・オークション(Sealed bid auction)」という自分の希望する価格を他人に知られることなく入札できる特別なスタイルでオークションが進められたのは、同じF1でもこのS/N:059には他車にはない特徴があるからだった。
それはヘッドランプのシステムで、200km/hを超えるクルージングが日常的な当時のオーナーから、ヘッドランプの暗さがクレームとして報告され、マクラーレンは急遽、既存のヘッドライト内部をBMWの「Z1ロードスター」のものと交換。さらにヘッドライトハウジングを短く改良することで、この問題を解決したのだ。
同様の処理を施したF1ロードカーは他にはなく、したがってこの個体はワンオフの顔を持つF1ロードカーとして、さらにその価値を高めたということになる。
48時間にわたって続けられたシールド・ビッド・オークション。このスタイルのオークションで最も難しいのは、入札相手がそれにどの程度の価値(金額)を、その商品に想定しているのかを探ることにある。
ちなみにRMサザビーズ社では、このマクラーレンF1ロードカー以前にも、マラネロからの出荷時にホワイトのペイントが施されたエンツォ・フェラーリなどをシールド・ビッド・オークションで販売。販売価格はいずれのモデルも正式には発表されていないが、相当なプレミアムが付いたことは、まず間違いのないところだろう。