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「ニスモ」のテスト車両だったジャガー「XJR−15」とは? 1億8000万円オーバーで落札された公道を走るレーシングカー

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

レーシングカー直系の市販車

 2022年8月後半、北米カリフォルニア州モントレー半島を舞台に開催される「モントレー・カーウィーク」は、コロナ禍からの復活2回目となる今年も大盛況。クラシック/コレクターズカーの国際オークションも一堂に会した。

 中でもRMサザビーズ北米本社がモントレー中心街の見本市会場で開く「Monterey」は、規模・出展台数のレベルの双方で世界最高ランクのオークションとして知られる。このバラエティに富んだ出品車両の中で今回紹介するのは、「ジャガースポーツ」がごく少数を製作したレーシングカー直系のスーパースポーツ「XJR-15」である。

辣腕ウォーキンショウの発案した、公道を走るル・マン・レーサーとは?

 1980年代初頭、スコットランドのレーシングドライバー兼エンジニアであるトム・ウォーキンショウは、ラリー用にチューニングしたレンジローバーで「パリ~ダカール・ラリー」で優勝したのち、自身のレーシングカンパニー「トム・ウォーキンショウ・レーシング(TWR)」とともに、当時ローバーと同じくBL(ブリティッシュ・レイランド)に属していたジャガーと密接な関係を持つようになる。

 そしてTWRのジャガー「XJS」が、欧州ツーリングカー選手権で成功を収めたことから、密接なパートナーシップを締結。「ジャガースポーツ」社を設立した。

 ジャガーの象徴である5.3L V12エンジンを高度にチューニングしたジャガースポーツは、グループCレースでザウバー・メルセデスやポルシェ、トヨタを圧倒し、大きな成功を収めることになった。1988年のル・マン24時間レースにて、ジャガーにとっては31年ぶりの総合優勝を果たしたのち、1990年には再び優勝を獲得する。

 このような背景のもと、辣腕ビジネスマンとなっていたウォーキンショウは、ストリート用のル・マン・レーサーに対する需要があることを察知。しかもそのクルマに軽度の改装を施し、ワンメイクレースを行うというアイデアを実現した。

 1990年11月、ジャガースポーツのプレスリリースは、「ル・マンを制したXJR-9とXJR-12の技術とノウハウを用いながら、より使いやすく、サーキットでも使えるロードカー」と謳いつつジャガー「XJR-15」の登場を世界に公表する。

 XJR-15は、ル・マンを制したXJR-9(トニー・サウスゲイト設計)と同じコンセプトのセンターモノコック・タブを採用。ボディはマクラーレンF1を手がけたピーター・スティーブンスによるデザインで、カーボンファイバーとケブラーの複合材を使ったユニークなもの。サスペンションやブレーキはともにXJR-9を踏襲していた。

 グループC仕様のエンジンは、450psの6.0LドライサンプV型12気筒で、コスワース製の鍛造クランクシャフトとコンロッド、アルミピストン、ザイテック製の電子制御シーケンシャル燃料噴射装置などを装備。パワーはロードバージョンでは5速MT、ワンメイクレース仕様ではTWR設計の6速ストレートカットギアとAP製トリプルプレートカーボンクラッチで後輪に伝達される。

 ウォーキンショーが手がけたこのマシンは、重量わずか1050kgを標榜。その軽量がもたらす優れたハンドリングに、低いパワーウェイトレシオ。ワンメイクレースで実証された信頼性。350km/h近い最高速度に代表されるパフォーマンス。そして100万ドル近くにもおよぶ新車価格でも世界を驚かせたのだ。

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