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「地域おこしラリー」で勝利する秘訣とは? 秩父・皆野町のヒストリックカーラリーでガチで勝ちを狙いに行ってみました

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TEXT: AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)  PHOTO: 堀口邦彦/奥村純一/AMW編集部

勝利のために3:前後のクルマとの心理戦を制する

 こうして準備万端の気分でスタートした皆野サンデーラリー。秋の深まる秩父エリアの風景を眺めながらカルマンギアで快調に走る。コースミスもなく、ペース配分も順調だ。しかし、スタート地点では1分おきに感覚をあけて走り出したエントリー車たちも、信号やCPをはさむことで徐々に集団が形成されていく。

 自車の前を走っているクルマが、こちらの考えるベストなペースより速いとき追いかけるのか、または遅い場合には追い越してでも先に行くのか。さらに前のクルマが「あれ?」という場所で曲がっていったとき、コースミスだと思うけどひょっとしたら……と心に迷いが生じることもある。

 今回は、数台の集団をこちらが先導する形になる場面が多かった。そうなると「もしかして遅すぎる?」と不安になったりもする。つくづくどんな競技でも、平常心が大事だ。

競技終了! 結果は果たして……

 道の駅みなので地酒や「しゃくし菜」の漬物を買いこんで、ゴール地点の皆野町役場へ。最後に待ち受けるクイズは、1年前は「コマ図のAからBまでの間の信号の数は?」だったので、同じ問題は出ないだろうと思いつつ、信号の数はチェックしてある。ところがフタを開けてみると今回のクイズは……。

「コマ図16より“フルーツ街道”を通りましたが、秩父郡吉田町で有名な稲作農法は次のうち何番でしょうか? Aアイガモ農法 Bコイ農法 Cコフナ農法 Dカブトエビ農法 Eバイオセラミカ農法」

 と、カルトクイズのような内容で完全にお手上げ。5分の1の運に賭けるも外したのだった。正解はDのカブトエビ農法で、ごく少数ながら、道中の看板をヒントに正解した人もいるようだった。

 リザルトは、同点の場合はより年式の古いクルマが上位というルールで発表され、われらAMWチームは26点で60台中20位。健闘はしたけれど……というふがいない順位だ。

 なお同じ26点が5台、27点が3台、28点が6台、29点が3台とポイントが固まっていて、上位陣は優勝&2位が38点、3位が35点と、点数差の大きな分布となっている。最後のクイズが10点なので、その正否が勝負の決め手なのだった。

優勝者いわく勝利の秘訣は「応援したい気持ち」

 第3回皆野サンデーラリーで優勝したのは、1964年式オースティン「ヒーレー3000 Mk.3」の鈴木智博さん。ステージ5のクイズ「カブトエビ農法」は、勘ではなく正答できたというから驚いた。たまたま有機農業に興味があり、ある程度の知見があったので消去法で回答できたそうだ。また、ステージ4の「道の駅みなの」は買い物の金額に応じてポイントが加算され、こちらでも最高得点をマークしている。鈴木さんに勝利の秘訣を聞いてみた。

「今回でいうと、勝つ秘訣は、あきらめない心と応援したい気持ちですかね(笑)。ラリー3日前にヒーレー3000のダイナモが故障し、あわや参加見送りとなるところ、知人からオーバーホールしたヒーレースプライトのダイナモが届き、さらに所属しているクラブ“Evergreens”の先輩にご指導いただきながら問題を乗り越え、4時間にもおよぶ路上修理の末、エンジンが始動できました。そのような奇跡があり、クラシックカーを愛する諸兄に感謝をしながら、出場できただけでもありがたかったのです」

 そう謙虚に語る鈴木さんは、じつは地域活性化を軸にした仕事をされていて、まちづくりの観点からも皆野サンデーラリーを非常に良いイベントだと思っていたそうだ。

「当日は中学からの親友と、その場でコマ図を見ながら打ち合わせを行い、自分たちのベストを出そうとがんばり、結果的に総合得点で優勝をいただきました。お買い物ランキング1位というのは、単純に、地元に金を落としたかったという想いがありました。素晴らしい皆野、秩父の景色とおいしい特産品をたっぷりと買うこともでき、運営者の皆様には感謝しています。ぜひ来年も参加させていただければと思います」

* * *

 開催地の文化と風土をリスペクトしながら純粋にラリーを楽しみ、結果として優勝というオマケも手に入れることとなった鈴木さんのお話を聞いていると、目先のポイントで一喜一憂していたわが不明を恥じるばかりだった。

 自然の中でドライブするだけでも楽しいものだけれど、地元の人びとが地域の魅力的なスポットや名物をそろえて「おもてなし」してくれるヒストリックカーラリーなら、その土地をさらに深く味わうことができる。

 次回の皆野サンデーラリーは2023年4月9日(日)に開催が決定しているので、まだ体験していないクラシックカー乗りはFacebookで「皆野町地域おこし協力隊」をチェックしてみるといいだろう。

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  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • 田舎の大学院で古代インドのサンスクリット語を研究していた元・学者の卵。クルマ遊びにハマって中古車販売店で1年働いた後に出版業界へ。クルマやカルチャー系の雑誌のほか、翻訳書、人文書、地図帳、写真集など手がける。クラシック・フォルクスワーゲンが趣味の中核で、愛車は1963年式カルマンギア。数年前に都内から小田原へ移住し、賃貸ガレージハウスでリモートワークしつつ、箱根や伊豆のワインディングをのんびりドライブする日々。
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