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50年代に想像した「2000年のクルマ」が未来すぎる! シムカ「フルグル」が予想した「燃料電池」「レーダーによる自動運転」は実現しました

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: Chicago Auto Show/AMW編集部

「音声コマンド」に「燃料電池」に「ジャイロスコープ」! 当時としては超SFなスペック

ロベール・オプロンはさっそく「未来のクルマ」の制作に着手。シムカ「フルグル」(ラテン語で閃光の意)と呼ばれたそれは、当時のSF映画の空飛ぶ円盤や宇宙船にも通じるデザインが取り入れられた。

スペック的には「ドライバーが入力した音声コマンドに反応し、レーダーによる自動運転」、「動力は原子力、あるいは燃料電池(水素電池)によるEV」「150km/h以上で走るときには4輪のうち2輪が車体に格納され、ジャイロスコープでバランスをとりつつ2輪だけで走る」など、2000年代には実用化されているだろうと思われたさまざまなアイデアがうたわれている。

この「開発」の様子は「ル・ジャーナル・ド・タンタン」誌1958年12月11日号からさっそく記事として紹介され話題となる。シムカ・フルグルの「実車」も翌1959年には完成。パリとジュネーブのモーターショーには「2000年、未来のクルマはこうなっている」という技術資料とともに出展され、一躍脚光を浴びることになる。

ロベール・オプロンはのちにシトロエンで数々の名車を手がけることに

さらにシムカ・フルグルは、大西洋を渡って1961年のシカゴオートショーにも出展され、こちらでも注目を集める。もちろん実際のシムカ・フルグルの中身は架空のスペックとは異なり、当時のシムカ製乗用車のシャシーに未来的なデザインの樹脂製ボディを設えただけの純然たる「ショー・モデル」ではあったが、アメリカでは決して知名度が高いとはいえなかったシムカの名を知らしめるのに大きな役割を果たしたことだろう。

科学の進歩が人類の幸福に直結すると、無邪気に信じられていた時代に作られた「未来のクルマ」、シムカ・フルグル。ひるがえって、われわれがいま暮らす現在から半世紀後のクルマは、どのような進化を遂げているだろうか。あるいは、遂げているべきであろうか……。

* * *

ちなみにシムカ・フルグルを作ったロベール・オプロンは、のちにシトロエンに移籍。そちらではシトロエン「SM」や「CX」などのデザインを手がけ、高い評価を受けることとなる。また、1999年にアメリカで行われた「カー・デザイナー・オブ・ザ・センチュリー」のコンペでは、25人の候補者の一人に選ばれている。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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