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スタッドレスは履きつぶしても大丈夫?「法的にはオッケーでも推奨しません」タイヤ交換のタイミングとは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: AMW編集部

スタッドレスタイヤの履き潰しにメリットはない

3月になり暖かい日が増えてくると、スタッドレスタイヤの出番もそろそろ終了。そうなったとき、スタッドレスタイヤにまだ十分な溝が残っているときは、迷わず夏タイヤに交換すればいいが、そうではない場合に履きつぶしても良いのだろうか?

履きつぶしは問題ないがオススメはしない

問題は冬用タイヤの使用限度を示す「プラットフォーム」が露出しかかっているケースだ。スタッドレスタイヤでプラットフォームが露出してくるのは、新品時から50%ほど摩耗したタイミング。プラットフォームが露出すると、雪道などを走る場合は法令的にも性能的にも、冬用タイヤとしての寿命は終えたことになるが、そのタイヤを春~夏~秋と使い続けて、履き潰してしまうことは違法ではない(残り溝が1.6mm以上ある場合)。

しかし、夏になってもスタッドレスタイヤ、それも摩耗したスタッドレスタイヤを履き続けるのは賢いチョイスとは言い難い。というのは、冬場以外のスタッドレスタイヤは、夏タイヤに比べてブレーキ性能が悪く、ハイドロプレーニング性能も劣っているからだ。

スタッドレスタイヤは氷雪路に強いが排水は苦手

JAFによる5分山の夏タイヤと、5分山(プラットフォーム露出)のスタッドレスタイヤの比較テストでは、ドライ路面の時速60kmからの直線ブレーキで、スタッドレスタイヤは夏タイヤよりも制動距離が1.15倍も延びてしまった(夏タイヤ=16.3m、スタッドレスタイヤ=18.8m)。

同条件で、ドライ路面の時速100kmからの直線ブレーキになると、制動距離は1.16倍に(夏タイヤの制動距離=44.1m、スタッドレスタイヤ=51.1m)。

ウエットになると、さらにその差は広がり、時速60kmからの直線ブレーキで1.22倍(夏タイヤの制動距離=16.7m、スタッドレスタイヤ=20.3m)。時速100kmからのウェットブレーキでは、1.42倍にもなってしまう(夏タイヤ=50.8m、スタッドレスタイヤ=72.2m)。

スタッドレスタイヤは氷雪路に強いのだから、ウエット性能はいいような気もするが、氷上の水膜を吸水する性能は優れていても、排水に関してはむしろ苦手で、ハイドロプレーニング性能は期待できない。

また柔らかいゴムを使っているので、ブロック剛性が低く、操作に対する反応が鈍く、ブレーキ性能に加え、コーナリングも得意ではなく、トラクション性能もネガティブだ。

ドライ路面なら夏タイヤに比べ燃費が約10%も悪化するというデータも

しかもタイヤのゴムが柔らかい分、転がり抵抗が大きい。ドライ路面でスタッドレスタイヤを使うと、夏タイヤに比べ燃費が約10%も悪化するというデータもある。プラットフォームが露出した、五分山のスタッドレスタイヤを処分してしまうのはもったいないような気がするが、そこまで摩耗させて走ったのであれば十分元は取れているはず(3~4シーズン/2万kmぐらい)。

4シーズンも使っていれば、もちろんゴムだって劣化し硬化も進んでいるので、そういうタイヤで万が一事故でも起こしたら、「もったいない」どころの話ではなくなってしまう。クルマの安全性、快適性、そして本当の経済性を考えるのなら、スタッドレスタイヤの履き潰しにメリットはない。

* * *

一日の最低気温が7~10度を超えるような季節になったら、スタッドレスタイヤから夏タイヤへのクロスオーバーポイント(交換時期)が到来したと思って、できるだけ早く夏タイヤに交換するようにしよう。

 

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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