EUのEV化宣言、進まぬ現実と選択肢の変化
EU(ヨーロッパ連合)が掲げる2035年EV化戦略が進展しない中、自動車業界は混乱を続けています。若者の多くがEV購入を検討する一方で、長所や短所を理解している人は約半数に過ぎない現状。EV化の未来と、今後の選択肢はどうなるのでしょうか?
30歳未満の半数がEV購入を検討中
何年か前にEUが声高に「2035年から完全にEV化する」ことを宣言し、世間を大騒がせしたのは記憶に新しいものです。しかしスムーズにいくはずもなく、なんやかんやでうやむやになっている感が否めません。このEUの決断により、数多くの自動車メーカーがEV化に向けての巨額の設備投資を強いられたほか、長年にわたり自動車メーカーへ内燃機関用のパーツ類を収めていたサプライヤーが相次いで倒産や経営破綻に追いやられるなど、混乱が続いています。
その上、新型コロナウイルスやウクライナとロシアの戦争も加わり、昨今のインフレによる物価の急上昇や燃料費の高騰などで悪化を辿るばかりです。将来いつかは完全にEV化するのでしょうけれど、いまはまだ世間一般の方は様子を見ているような状況のように感じますし、ライフスタイルに合わせて愛車をチョイスしておられるのではないでしょうか。
私も加入しているADAC(ドイツ自動車連盟)が行った調査によると、30歳未満のドライバーのうち、約半数がEV(電気自動車)の購入を検討し、次にクルマを買い替える際には「間違いなく、またはおそらく」電気自動車を選びたいと答えたのは29%でした。28%の方が「おそらく」電気駆動のクルマを選ぶと答え、50歳以上の回答者は18%がそう答えたそうです。じつに若いドライバーの2人に1人が電気自動車の購入を検討しているという結果となりました。また、30歳未満の方の12%が電気自動車を定期的に運転していると回答した一方で、50歳以上の方はわずか4%に過ぎないそうです。
電気自動車の長所と短所を知っている人は何割?
ドイツのカーシェアリングにはテスラをはじめ、数多くの電気自動車も導入されています。駐車区間外の場所もありますが、日本のように指定場所へ返却するのではなく基本的に市内で乗り捨てのカーシェアリングが一般的です。たとえ自身で所有はしていなくても電動キックボードのようにチョイ乗りのカーシェアリングを通して、若い方々にとって電気自動車は身近な存在なのかもしれませんね。
ましてや生まれたときからすでにスマートフォンやタブレットが存在し、それらをはじめとする電子機器の操作は幼少期からお手の物ですから、最新のEVのタッチパネル操作はサクサクとこなせると思います。しかし、一般的なシニア世代にはなかなかハードルが高いのかと想像します。最近では自動車教習所の教習車もEVが増加しています。

ところで、ADACの自動車保険のアンケート調査対象者のうち「電気自動車の長所と短所を知っている」と答えたのはわずか全体の約半数の49%で、残りの半数の約50%の方々は知らないと答えたそうです。世間一般の電気自動車の購入をお考えの方、すでにご所有の多くの方々は事前に調べて、納得のうえで購入されていることでしょう。内燃機関と電気自動車の両方に長所も短所もありますしね。














































