グランツーリスモ王者の宮園拓真がリアルニュル初挑戦
ドイツ在住でモータースポーツを取材している池ノ内みどりさんは、NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の取材へニュルブルクリンクへ! TOYO TIRES(トーヨータイヤ)のピットをのぞくと、グランツーリスモワールドシリーズのネイションズカップで2度のワールドチャンピオンに輝いた宮園拓真選手の姿を発見。新たなチャレンジの舞台裏に迫ります。
ゲームの世界からリアルなサーキットへ
少しずつ春らしい陽気が感じられるようになったドイツ。私は交通量のとても多い幹線道路の近くに住んでいますが、そんな場所でも野鳥のさえずりが響き、リスや野うさぎと出会うことがあります。野生の小動物を見かけると、とても癒されて心がほっこりします。
ようやく長いシーズンオフも終わり、モータースポーツがついに開幕。NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の開幕戦を訪れました。久々にニュルへ足を運んだということもあり、どんなドライバーやマシンが参戦しているのか、あちこちチェックして歩きました。
TOYO TIRES(トーヨータイヤ)のピットをのぞいたとき、ふと頭の中に大きな「?」マークが浮かびました。「あれ? どこかでお見かけした方が……?」。私はゲームをまったくしないのですが、そのお名前とお顔には見覚えがあり、いくつものウェブサイトで拝見していた記憶が蘇ってきました。
まさか、こんなところでレーシングスーツ姿に遭遇するなんて! そこにいたのは、グランツーリスモワールドシリーズのネイションズカップで2度のワールドチャンピオンに輝いた宮園拓真選手ではありませんか。とてもお忙しそうなご様子でしたが、タイミングを見て思い切ってお声がけしてみたところ、なんとも気さくにお話ししてくださり、大感激でした。
Permit取得の舞台裏
宮園選手は、普段はトーヨータイヤにお勤めの会社員。同社のレーシングスーツを着用されていたので、てっきり社員ドライバーとしての参戦かと思いきや、なんとプライベートで参戦されているとのこと。スーツは勤務先であるトーヨータイヤのご厚意だそうです。
プロゲーマーとしての活動と並行して、日本では少しずつ実車レースへの参戦をはじめ経験を積まれているとのこと。いつかニュルブルクリンク24時間レースを走りたいという夢を胸に、今回はその参戦資格を得るためのPermitライセンス取得を目指して、NLSに初参戦されたそうです。
初めてのニュルということでかなり緊張されていたようですが、それでも楽しそうな笑顔が印象的で、こちらまで嬉しくなってしまいました。せっかくの特別な機会なので、宮園選手のNLS初参戦の様子を間近で見せていただくことに。
レーサー姿の宮園選手はとても凛々しく、無事に第一段階の「Permit B」を取得されたとのことで、ほっとされたご様子のところに少しだけお話を伺いました。
グランツーリスモのバーチャル世界では、何度も何度もニュルを走ってきたという宮園選手ですが、ぜひ“リアルニュル”の感触についてお聞きしたかったのです。特に縦Gの感覚、実際のコース幅の狭さ、ジャンピングスポットなど、バーチャルとリアルの違いに驚かれていた様子。そして、その瞳はアドレナリンに満ちてキラキラと輝いていました。少しベタな質問をしてしまいましたが、とても気さくに素直な感想を話してくださいました。
次なる目標はニュルブルクリンク24時間レース
グランツーリスモのワールドチャンピオンがリアルニュルに現れたことに興奮していたのは、きっと私だけではなかったはず。トーヨータイヤのピット裏ではたくさんのファンに囲まれ、一人ひとりに丁寧に対応されていた宮園選手。その姿に、同じ日本人として誇らしさを感じずにはいられませんでした。
何と言っても、宮園選手の魅力はその物腰の柔らかさ、気さくな人柄、そして素敵な笑顔! トーヨータイヤの社員としての本業を最優先にし、有給休暇を使いながら自費でレース活動に挑むという宮園選手。
「次にいつNLSに参戦できるかは分かりませんが、いつかニュルブルクリンク24時間レースに出られるように、先にPermitを取りに来ました!」
と語ってくださいました。ゲームを通じて新たなファンをニュルブルクリンクに導き、モータースポーツをさらに盛り上げてくれる存在として宮園選手の活躍に大いに期待したいですね。