ブラッド・ピットが挑む新たなF1(R)映画
世界各国で社会現象を巻き起こした『トップガン マーヴェリック』の監督とブラッド・ピットがタッグを組み、映画体験の新境地を切り開く『F1(R)/エフワン』が2025年6月27日(金)に全国公開されます。F1(R)の全面バックアップを得て、世界各国の本物のサーキットコースで撮影。映画史上類を見ない規模でリアルなアクションシーンを実現しました。映画評論家の永田よしのりが本作の魅力を解説します。
『トップガン マーヴェリック』制作陣が描くF1(R)という“地上の戦場”
2022年に世界的大ヒットを記録した『トップガン マーヴェリック』。空の戦闘機アクションを描いたスタッフチームが再集結して描いたのは、究極の地上戦ともいえるF1(フォーミュラ1)レースの世界だ。
現在ではテレビ地上波放送はなくなってしまったが、1980年代後半から1990年代前半にはアイルトン・セナ、アラン・プロスト、ナイジェル・マンセルらスター選手が激しい戦いを繰り広げ人気沸騰。ほぼすべてのレースを日本の地上波で放送するほどのコンテンツだった。
とくにアイルトン・セナは日本のおいて“音速の貴公子”の異名を持ち(古舘伊知郎が命名したと言われている)、優勝回数41回を数えた。1994年にイモラ・サーキットで開催されたサンマリノGPでの事故死によりセナは伝説となったが、その後ミハエル・シューマッハ、フェルナンド・アロンソら新スターが台頭、とくにシューマッハは91勝という優勝回数を誇り、F1(R)人気は継続していった。
しかしながら2013年にシューマッハもスキーの事故で車椅子生活となり、それに並ぶような形で地上波のF1(R)中継も減っていくことに。だが、世界では配信の重要コンテンツとして高い人気を誇り、マクラーレン、メルセデス、フェラーリ、レッドブルらがレースを引っ張っている。日本のホンダもF1に復帰し、角田裕毅という日本人スターも誕生した。
そんな現在のF1(R)を舞台にして、最弱チームと呼ばれるAPXGP(架空のチーム)に、かつてF1ドライバーとして将来を嘱望されたベテラン・レーサーが復帰、若手レーサーとのコンビでレース優勝を目指す、という熱いストーリーが展開されるのが本作『F1(R)/エフワン』だ。
ブラッド・ピットとトム・クルーズの映画に対する姿勢の違いが如実に
現役世界チャンピオンのルイス・ハミルトンが全面協力・プロデュースに参加し、彼の実体験を基にしたようなストーリーも展開。レース・シーンは実際のF1(R)レース世界各地のサーキットなどで撮影。数年前に鈴鹿サーキットでも撮影されており、まだこの映画の情報が極秘だったため、メディアでは「何の撮影をしているのか?」と話題になっていた。
CGではないサーキットでのリアルな観客。熱気、興奮、スリル、それらはIMAX認証カメラを搭載したレースカーで撮影。実走行のリアルが画面からひしひしと迫る。実際にブラッド・ピットもレースシーンに参加しており、その点などはスタントアクションを自分で演じるトム・クルーズのこだわりにも共通している。

しかしながらトム・クルーズとブラッド・ピットの姿勢の違いは映画を観ると明確に見えてくる。それはトムがいかに観客に映画を楽しんでもらうかのサービス精神旺盛な点に特化して映画を作っているであろうというのに対して、ピットは自分の俳優としての生き様を映画の登場人物に投影して観客に見せていく姿勢を貫いているという点だ。それぞれの映画製作に対する姿勢は違うかもしれないが、彼らがスクリーンのなかで強烈な輝きを発しているのは“強い映画に対する思い”があるからにほかならないのだ。







































