CO2吸収量の減った木を切って製作
帰宅してから名刺を眺めてみると何と説明してくれた方は出展社、ヤマト建設の社長さんだった。そこで今度は会場では聞けなかったあれやこれやを調べてみた。そもそものきっかけは、長野県出身の早出正さんという方が、和歌山県に移住。趣味がオーディオ鑑賞であったことから、紀州産のヒノキやスギを振動板にしたスピーカー作りに取り組んでいたそうである。
しかし、木を薄く削るのが難しかったことから、つてを頼ってヤマト建設に行き着き、共同でスピーカー作りを始めたとのこと。早出さんはこの開発でスピーカー装置の特許を取得している。一方のヤマト建設はヒノキを使ったエンクロージャー(筐体)の意匠登録していて、まさにウィンウィンの関係でこのスピーカーができあがっている。
ちなみに木の振動板が奏でるのはミッドレンジの音域で、ウーファーやツイーターなどは既存のスピーカーを使っているとのこと(展示されたサンプルはパイオニア製だった)。そしてここからが大事になるのだが、ヤマト建設は和歌山県田辺市の龍神村森林組合に属している。ここは昔から林業が盛んで、昭和40年代頃から質の良さが注目されるようになった「龍神材」ブランドを守り、龍神村の林業を支えてきたのだ。
木はCO2を吸収してくれる。しかし大きくなった木はその吸収量が減るそうだ。そんなCO2吸収量の減った木を切って、新しい若い木と入れ替える。その切った木を使ってこのスピーカーを作ることで、まさにCO2の削減に効果を発揮する。元々長いスパンで見ると、木を育てて伐って、使って植えるを繰り返すという循環型の業種であるから、今さらSDGsなど、言われなくてもやっているということである。



































