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BMWR53型「ミニクーパーS」が約93万円で落札!人気のカスタマイズアイテム満載が価格に影響!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers

走行距離17万km超ではあるがHRRCCのアイテムと整備を施す

今回、アイコニック「The Classic Sale at Wheeler Dealer Live 2025」オークションに出品されたR53系MINIクーパーSは、「HRRCC」から提供されるオリジナル仕様の個体である。

「チリレッド(Chilli Red)」のボディに「アスペンホワイト(Aspen White)」のルーフがアクセントとなる2トーンカラーのエクステリアは、往年のラリー競技で大活躍したBMCワークスカーをモチーフとした仕立て。豪華な本革レザー/ファブリックのコンビインテリアと組み合わされ、同じく工場出荷時と同じブラッシュドアロイ(アルミ磨き出し風)のダッシュボードとフェイシア、そして純正オプションの「クロームパック」によって、さらにフレッシュでゴージャスな印象が引き立てられている。

また、新品の17インチのクラシックスタイル8本スポークアロイホイールを装備するほか、フロントウインドスクリーンのヒーター、雨滴センサーつきオートワイパー、エアコンなど、新車当時の純正オプションも追加装備されているとのことであった。

オークションカタログ作成時点でオドメーターに刻まれていたマイレージは、10万6577マイル(約17万500km)。R53系クーパーSでは、一定の周期で交換ないしはオーバーホールが必須とされるスーパーチャージャーは、6万マイル(約9万6000km)を超えた際に新品に代えられたことが記録されている。

今回のオークション販売については、HRRCCのワークショップで一連の作業が完了したのち直接販売されることになっている。落札者は完全にリフレッシュされ、フルサービス済みの状態で、そのままお楽しみいただけるとの触れ込みであった。

リザーヴなしで出品!現実的な推定落札価格内におさまり落札

アイコニック・オークショネア社では自社の公式カタログで

「6速ギアボックスにより163bhp のパワーを発揮するこのクーパー Sは、再びその威力を発揮する準備が整っています」

とアピールしつつ4000ポンド~6000ポンド(邦貨換算約80万円〜120万円)という、かなり現実的なエスティメート(推定落札価格)を設定。さらにこの出品については、比較的安価なクルマ、あるいは相場価格の確定していないクルマでは定石となる「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で行うことを決定した。

この「リザーヴ(Reserve)なし」という出品スタイルは、金額の多寡を問わず確実に落札されることから競売会場の雰囲気と購買意欲が盛り上がり、ビッド(入札)が進むこともあるのがメリット。しかしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうリスクも不可避的についてくる。

ところが、迎えた6月1日の競売では順当にビッド(入札)が進んだようで、締め切りまでに4725英ポンド、現在のレートで日本円に換算すると約93万円まで上昇したところで競売人の掌中の小槌が鳴らされることになった。

このハンマープライス自体は、日本国内でコンディションの良いR53系クーパーSのユーズドカーを購入するのと大差ない、かなりリーズナブルな価格といえよう。しかし、英国内で「Prepared by HRRCC」のコンプリートカーを買うならば、もっと高価な出費が必須条件となっている。くわえて、英国内市場におけるこの時代のMINIは、すでにひと頃よりもかなり高価な相場観になっているようで、いずれはコレクターズアイテムになるという見方も、あながち間違いではないのかもしれないのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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