ひっそり展示されていたお宝車とアメ車好きがハマる車両選択
夏に丸々1カ月かけて訪ね歩いた(走った?)北米の博物館を紹介するシリーズ。今回は、ブランソン自動車博物館(Branson Auto & Farm Museum)とルート66自動車博物館(Route 66 Car Museum)を取り上げます。
期待以上のバラエティに富んだ収蔵展示台数と車両内容に驚き
じつはここブランソン自動車博物館を訪れる前日、前回紹介したぺティ・ジーン自動車博物館(The Museum of Automobiles in Petit Jean)の取材を終えた後、225kmほど走って予定していた2軒目の博物館へ向かった。しかし、そこはすでに廃業・閉館していて取材できなかった。こういうケースは少なくないが、モチベーションが一気に下がる当然ではあるが仕方ない。
そんな一件があったため、前日のロスを取り返そうと、この日は普段以上に気合が入っていた。ただし、訪れようとしている2軒の博物館は、前者がホテルで耳にしただけで、後者も過度に期待はできない感じだったため、気合が空回りする恐れもあった。しかし、結論から言ってしまえば、この2軒の博物館は、収蔵展示台数や車両のバラエティに富んでいて、その充実度から期待以上の1日となった。
トラクター展示の奥にあったドラマチックに仕上げられたクルマたち
その博物館は英文表記ではBranson Auto & Farm Museumとあったため、トラクターなど農機具も展示してあることは予想していた。が、展示場に足を踏み入れた途端、そのトラクターの多さに呆れてしまった。目当てのクルマが1台も見当たらず、モチベーションは一気に落ちていった。
写真を撮る気も失せ、肩を落として展示ホールを進んでいくと、出口と思われる先にクルマが並んでいる。これが自動車の展示ホールだった。トラクターが並んでいたホール以上の広さに、100台を超えるクルマがずらりと並んでおり、モチベーションは一気に最高潮へと高まった。
展示されている車両の傾向は、これまでに取材してきた北米の自動車博物館と大差はない。しかし、トラック(北米ではSUVと呼ぶのが一般的だが)の展示数が少なくないうえ、それらが綺麗にレストモッドされ、ラインオフ時以上に美しく仕上がっている車両が多く見られた。スポーツカーから高級車までの乗用車も多岐にわたり、単に多くのクルマを並べるだけではなく、1台1台がまるでドラマチックに仕上げられている。そんな展示を目指していることが十分に感じられた、お勧めの博物館だ。
展示車のカテゴリーや年代の幅は広いがマニアのツボにハマる車両ばかり
ブランソン自動車博物館から72kmほど走り、この日2軒目の博物館「ルート66自動車博物館(Route 66 Car Museum)」に到着した。これまでもアメリカンドリームの象徴である旧国道・ルート66を名乗る博物館を2軒取材してきたが、今回のルート66自動車博物館がもっとも充実していた。
収蔵展示台数は70台程度だったが、古くは1907年式REOから新しいところでは2006年のNASCARレーシングカーまで、じつに多岐にわたるクルマが勢ぞろいしていた。クライスラー「タウン&カントリー」やポンティアック「ボンネビル」、シボレー「コルベット」、そしてフォード「ブロンコ」といった定番モデルに加え、カイザー「ダーリン」やスチュードベーカー「シルバーホーク」といった個性的なモデルも見受けられ、クルマ好きにはたまらない博物館だ。
また、レストアや整備・修理を担当するワークショップも公開されており、取材当日もハップモビルやコードなどが入庫し、数名のメカニックが作業を進めていた。
今年の夏はアメリカでも記録的な暑さだったが、彼らが汗を流しながら作業する横で、私も汗だくになりながらクルマのディテールを撮影していると、ひとりのメカニックが「暑い中、大変だね」と、自分のアイスボックスから冷えたミネラルウォーターを取り出してプレゼントしてくれた。これは博物館の評価を左右するものではないが、好感度が大きく上がったのは事実だ。





































































