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魔宮のような米国自動車博物館!農機具展示の先にあった衝撃やマニア心わし掴みな展示車両

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了(HARADA Ryo)

  • 1966年 オールズモビル ナインティ エイト コンバーティブル:GMオールズモビルブランドのフラッグシップモデル。1965年に登場した第8世代は、スクエアなボディシルエットが特徴。2ドアコンバーティブルは、豊かなアメリカをアピールしていた
  • 1964年 フォード サンダーバード:シボレー コルベットと対比されることが多いが、スポーティなプレミアム・パーソナルカーとして直接的な競合を避けていた。1964年に登場した第4世代は、よりフォーマルなデザインになった
  • 1957年 シボレー コルベットF/I:北米初の本格スポーツカー。初代は当初、旧式な直列6気筒エンジンだったが、後にV8に換装された。この1957年式からは燃料噴射が採用されている
  • 1913年 フォード モデルT スピードスター:実用的なモデルのイメージが強いT型だが、1913年にはスピードスターと呼ばれるモデルも登場した。これは、フォードをベースにアフターパーツを組み込んだカスタムモデルのようだ
  • 1979年 フォード ランチェロ:フォードが生産していた、乗用車ベースの2ドアピックアップトラック。代によってサイズが上下したが、写真の第7世代はミディアムサイズだ。1979年式が最終モデルとなる
  • 1937年 クライスラー ロイヤル “クライスラー エイト” 2ドア・クーペ:クライスラーのフルサイズカー。グレード名「クライスラー・エイト」は、直列8気筒エンジンを搭載していたことを示している
  • 1929年 デュラント 4ドア セダン:GMのトップだったウィリアム・C・デュラントが解任後に設立したデュラント・モータースの車両。バッド社の鋼製ボディに直列6気筒エンジンを搭載していた
  • 1948年 シボレー 5ウインドウ ピックアップ:戦後モデルで初めて、後方の死角をなくすために湾曲したガラスを埋め込んだ5ウィンドウ・ピックアップをリリース。この個体は綺麗にレストモッドされた1台だ
  • 1975年 ポンティアック トランザム:ポンティアックがリリースしたポニーカー「ファイアーバード」(シボレー カマロの姉妹車)の最上級モデル。7.5LのビッグブロックV8エンジンを搭載している
  • 1901年 オールズモビル カーブド ダッシュ サレー レプリカ:1901年にオールズモビルがリリースしたランナバウト。正式名称はタイプRだが、湾曲したダッシュボードから「カーブド・ダッシュ」の愛称で知られている
  • 1957年 スチュードベーカー シルバー ホーク:スチュードベーカーが1956年にリリースした「ホーク シリーズ」の中堅モデル。2ドアクーペで、流麗なテールフィンが特徴だ
  • 1907年 REO モデルG:ランサム・E・オールズが興したREOは、スピードワゴンで有名だが、歴史の初めにはこのような乗用モデルも生産していた
  • 1954年 カイザー・ダリン:前年に登場したコルベットに次いで、2番目にFRPボディを採用したモデル。前後にスライドするドアが特徴の2ドアロードスターだ
  • 1948年 クライスラー タウン&カントリー “ウッディ”:戦前はステーションワゴンだったが、戦後には4ドアセダンと2ドアコンバーティブルとして復活。木目調のドアパネルから「ウッディ」と呼ばれた
  • 1929年 キッセル ホワイト イーグル:エンジン製造から自動車製造へと発展したキッセルは、とくにトラックや消防車で有名となった。ホワイト イーグルはスポーティなモデルとして位置づけられている
  • 1930年 オースチン バンタム 2ドア クーペ:英国オースチン社からライセンス供与を受け、アメリカン・オースチン社が生産していたモデル。ロードスターと共に、最初期に発売された5ウインドウ・クーペだ
  • 1936年 ポンティアック クーペ:オークランド・モーターがGMに買収されてポンティアックとなったブランドがリリースした、いわゆる「ドクターズ クーペ」
  • 1955年 クライスラー デソート ファイアーフライト スポーツマン ハードトップ:クライスラーのデソト部門がリリースしたプレミアム・フルサイズカー。全長5.5mを超える巨体だが、5.3〜5.6LのV8エンジンで十分なパフォーマンスを発揮した
  • 1967年 ポンティアック ボンネビル:フルサイズのハードトップやコンバーティブル。1958年に登場し、この1967年式は第4世代にあたる。グリルが小型化されたのが特徴だ
  • 1966年 フォード ブロンコ:第2〜5世代はフルサイズSUVだったが、1966年に登場した初代モデルはアメリカンサイズで「コンパクトSUV」だった。2021年に25年ぶりに復活した

ひっそり展示されていたお宝車とアメ車好きがハマる車両選択

夏に丸々1カ月かけて訪ね歩いた(走った?)北米の博物館を紹介するシリーズ。今回は、ブランソン自動車博物館(Branson Auto & Farm Museum)とルート66自動車博物館(Route 66 Car Museum)を取り上げます。

期待以上のバラエティに富んだ収蔵展示台数と車両内容に驚き

じつはここブランソン自動車博物館を訪れる前日、前回紹介したぺティ・ジーン自動車博物館(The Museum of Automobiles in Petit Jean)の取材を終えた後、225kmほど走って予定していた2軒目の博物館へ向かった。しかし、そこはすでに廃業・閉館していて取材できなかった。こういうケースは少なくないが、モチベーションが一気に下がる当然ではあるが仕方ない。

そんな一件があったため、前日のロスを取り返そうと、この日は普段以上に気合が入っていた。ただし、訪れようとしている2軒の博物館は、前者がホテルで耳にしただけで、後者も過度に期待はできない感じだったため、気合が空回りする恐れもあった。しかし、結論から言ってしまえば、この2軒の博物館は、収蔵展示台数や車両のバラエティに富んでいて、その充実度から期待以上の1日となった。

トラクター展示の奥にあったドラマチックに仕上げられたクルマたち

その博物館は英文表記ではBranson Auto & Farm Museumとあったため、トラクターなど農機具も展示してあることは予想していた。が、展示場に足を踏み入れた途端、そのトラクターの多さに呆れてしまった。目当てのクルマが1台も見当たらず、モチベーションは一気に落ちていった。

写真を撮る気も失せ、肩を落として展示ホールを進んでいくと、出口と思われる先にクルマが並んでいる。これが自動車の展示ホールだった。トラクターが並んでいたホール以上の広さに、100台を超えるクルマがずらりと並んでおり、モチベーションは一気に最高潮へと高まった。

展示されている車両の傾向は、これまでに取材してきた北米の自動車博物館と大差はない。しかし、トラック(北米ではSUVと呼ぶのが一般的だが)の展示数が少なくないうえ、それらが綺麗にレストモッドされ、ラインオフ時以上に美しく仕上がっている車両が多く見られた。スポーツカーから高級車までの乗用車も多岐にわたり、単に多くのクルマを並べるだけではなく、1台1台がまるでドラマチックに仕上げられている。そんな展示を目指していることが十分に感じられた、お勧めの博物館だ。

展示車のカテゴリーや年代の幅は広いがマニアのツボにハマる車両ばかり

ブランソン自動車博物館から72kmほど走り、この日2軒目の博物館「ルート66自動車博物館(Route 66 Car Museum)」に到着した。これまでもアメリカンドリームの象徴である旧国道・ルート66を名乗る博物館を2軒取材してきたが、今回のルート66自動車博物館がもっとも充実していた。

収蔵展示台数は70台程度だったが、古くは1907年式REOから新しいところでは2006年のNASCARレーシングカーまで、じつに多岐にわたるクルマが勢ぞろいしていた。クライスラー「タウン&カントリー」やポンティアック「ボンネビル」、シボレー「コルベット」、そしてフォード「ブロンコ」といった定番モデルに加え、カイザー「ダーリン」やスチュードベーカー「シルバーホーク」といった個性的なモデルも見受けられ、クルマ好きにはたまらない博物館だ。

また、レストアや整備・修理を担当するワークショップも公開されており、取材当日もハップモビルやコードなどが入庫し、数名のメカニックが作業を進めていた。

今年の夏はアメリカでも記録的な暑さだったが、彼らが汗を流しながら作業する横で、私も汗だくになりながらクルマのディテールを撮影していると、ひとりのメカニックが「暑い中、大変だね」と、自分のアイスボックスから冷えたミネラルウォーターを取り出してプレゼントしてくれた。これは博物館の評価を左右するものではないが、好感度が大きく上がったのは事実だ。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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