直列4気筒化! BMW入門「M2レーシング」
パワー至上主義からコントロール性へシフト
レーシングドライバーであり自動車評論家でもある木下隆之氏が、いま気になる「key word」から徒然なるままに語る「Key’s note」。今回のお題はBMW Mモータースポーツから、プライベーターでも手が届く新型レーシングカー「M2レーシング」が発表されました! 初代M3(M30)や2002turboの伝統を引き継ぐかのように旧型の直列6気筒から直列4気筒2.0Lターボへダウンサイジングした理由が、とてもMスポーツらしい回答なのです。かつて旧型マシンでニュルブルクリンク24時間レースを戦い抜いた筆者が、パワー至上主義から「究極のコントロール性」へとシフトした現代レーシングカーの真髄を紐解きます。
サーキット専用マシンが日本上陸決定!
カスタマーレーシングカー「M2レーシング」
BMWのモータースポーツ部門であるMモータースポーツは、カスタマーレーシングカー「M2レーシング」を発表しました。世界各地でワンメイクレース開催が予定されており、日本でも「BMW & MINI Racing」への参戦が可能となります。販売はMモータースポーツディーラー「Toto BMW」が担当します。これにより、限られたレーシングチームのみが扱う特別なマシンではなく、プライベートチームやジェントルマンドライバーでも導入できる体制が整えられました。
この車両はワンメイクレースだけではなく、国内耐久レースシリーズ「スーパー耐久」にも参戦可能とされています。カテゴリーとしてはST-3クラスに該当します。
BMW伝統の直列6気筒から直列4気筒へ!
大胆ダウンサイジングした真の狙いは!?
今回の「M2レーシング」でとくに注目されているのは、エンジンとシャシーの変更です。
これまで入門用マシンとして活躍してきた「M2 CS Racing」は、F87型のM2がベースでした。つまり、BMW 1シリーズのシャシーが共用されていました。それが新型「M2レーシング」へと名が改められたのに伴い、ベース車両もG87型へとスイッチしています。これにより、M3やM4と同じプラットフォームがベースとなったのです。
最大の変更点は、エンジン構成でしょう。従来、このカテゴリーを担当した「M2 CS Racing」は直列6気筒3.0Lターボエンジンを搭載していました。しかし新型では、直列4気筒2.0Lターボへと変更されています。いわゆるダウンサイジングを採用した形です。
最高出力は313ps、最大トルクは420Nmを発揮します。スペック上は従来モデルよりもコンパクトなエンジンとなりますが、開発の狙いは単純なパワー競争ではなく、扱いやすさやバランスの向上にあるとされています。実際、旧型「M2 CS Racing」はニュルブルクリンク24時間レースや富士24時間レースなどの耐久レースで使用され、高い安定性と耐久性を示してきました。
じつは僕は2020年に「M2 CS Racing」でニュルブルクリンク24時間レースに参戦したのですが、ドライビングのしやすさは群を抜いていることを確認しています。パワーステアリングが組み込まれていましたし、ABSやトラクションコントロールも標準で装備されています。そのコントロールのしやすさに驚かされました。
最高速度はおよそ280km/hに達するいっぽうで挙動は安定しており、長時間のレースでもドライバーの疲労が比較的少ないことが特徴でした。また、ジェントルマンドライバーでも一定のペースで周回できる扱いやすさも評価されていました。














































