英国が生んだ傑作スポーツカーを愛する大人たちの祭典
世界中のエンスージアストから愛され続ける英国の名車、それが「オースティン ヒーリー(Austin-Healey)」です。オースティン・ヒーリーは、1952年から1972年まで存在したイギリスの伝説的なスポーツカーブランドです。なかでも日本で有名な、「カニ目」の愛称で親しまれる愛嬌たっぷりのヒーリーを含め約40台が、富士山の麓に集結しました。今回は2026年5月16日に開催された公式イベント「ナショナル ヒーリー デイ」へ潜入し、それぞれの全開走行から水運びゲームまで、ヒーリー仲間たちの笑顔があふれた初夏の運動会の模様をレポートします。
富士の麓に集結した約40台のヒーリー一族
英国の代表的なライトウェイトスポーツカー「オースティンヒーリー」を愛してやまない日本の仲間たちが、年に一度集う公式イベントが「ナショナル ヒーリー デイ」だ。
イベントを主催するのは、オースティン ヒーリーに魅せられた故・武森博さんが1979年に発足させた「オースティン ヒーリー クラブ オブ ジャパン((Austin Healey Club of Japan、略称:AHCJ))」である。当時はまだ存命だったブランドの創始者で親日派だったドナルド ヒーリー(Donald Mitchell Healey)と、息子のジョフリー ヒーリー(Geoffrey Healey)という故ヒーリー親子公認のオフィシャルクラブだ。
武森さん亡き後もクラブメンバーの尽力により運営されており、東西から比較的集まりやすい静岡県の「富士宮白糸スピードランド(ミニバイク&カート用コース)」を貸し切って開催されるのが恒例となっている。
今回で35回目を数える大会には、約40台のヒーリー一族が全国から駆けつけた。クラブメンバー以外でも参加可能となっており、より多くの仲間たちと楽しさを共有できる懐の深さも嬉しいポイントだ。会場には「カニ目」の愛称で親しまれる初代オースティン「ヒーリー スプライト」から、迫力あるビッグヒーリーまで、多彩なモデルが顔を揃えた。

全開走行から水運びまで、ヒーリー独自ルールの笑顔あふれるユニーク競技
サーキットならではの遊び方は、もちろん全開走行でのラップタイムを競うトライアルランである。しかし、勝負の行方は絶対的な速さだけではない。自己申告した1周のラップタイムにいかに近づけるかの誤差を競う「タイムトライアル」など、車のパワーやドライバーの腕前に依存せず、誰もが楽しめる工夫が凝らされている。
毎回違った提案がある「ファンカーナ(ジムカーナの遊び版)」は、今年はワイングラスになみなみと注がれた水を助手席のコ・ドライバー(同乗者)が保持したままコースを1周し、いかにこぼさずにフィニッシュできるかを競うユニークなものだった。
こぼれた量をメスシリンダーで正確に計測し、残量が多いチームが勝者となる。ドライバーの慎重なペダルワークと、同乗者のバランス感覚が試されるこの競技では、参加者から絶えず笑い声があふれていた。
トラブルすら楽しむ英国旧車乗りの粋な趣味の世界
白熱のゲームが終わったのち、閉会式まではコースのフリー走行枠が設けられ、走り足りない参加者たちが存分にスポーツドライビングを満喫していた。親子で参加し、今年免許を取ったばかりの息子がステアリングを握る微笑ましい姿も見受けられるなど、名車を通じた世代間の交流もこのイベントの魅力である。
クラシックカーでサーキットを全開走行するのだから、当然リスクも伴う。なかには頑張りすぎて、スプライトの泣き所であるハーフシャフト(ドライブシャフトの一部)を破損してしまった参加者もいたという。
しかし、そんなマシントラブルすらも笑い飛ばして楽しんでしまうのが、英国旧車乗りの粋なところ。ヒーリーファミリーの初夏の運動会は、同じメイクス(自動車ブランド)を愛でる仲間たちの「カニ目」のような笑顔あふれる素晴らしい1日であった。








































































