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暑い真夏でもサーキット走行中はエアコンをOFFにすべき理由とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

タイムアタック時のみエアコンOFF

 サーキットを走る時、エアコンは切る。昔から都市伝説のように言われ続けているが、その理由は果たして何なんだろう。エアコンを動かすコンプレッサーの負担が増し、加速が悪くなるとかエンジンが壊れるといった説の真偽、さらに対策についても考えてみたい。

 真夏にレーシングスーツや長ソデ&長ズボンを着用し、汗だくになってサーキット走行を楽しむ。普通に考えるとは「エアコンを使えば快適でしょ」と思ってしまうけど、誰もが当然のようにエアコンを切り、不思議に感じる人も皆無に近い。暑さに慣れるための訓練でもないだろうし、何かしら合理的な理由があるはずだ。

 一般的にいわれるのはエンジンのパワーロス。クルマのエアコンは、コンプレッサーと呼ばれる機械がガスを圧縮し、さらにコンデンサーを通すことで冷却され、ファンを回して冷たい風に変えている。そのコンプレッサーを動かすとき負荷が発生し、エンジンのパワーロスに繋がってしまうというワケだ。

 ハイパワー車であれば体感できるほどの差はないかもしれないが、小排気量なローパワー車に与える影響は大きい。特に違いが顕著なのは上り勾配で、通常ならスリップストリーム(前車の後方にピッタリついて風の抵抗を減らすテクニック)を使わなくても追い越しできる相手なのに、追いつけないどころか引き離されてしまった、なんて話もあるほどだ。

 もうひとつは全開走行でコンプレッサーの負担が大きくなり過ぎ、結果として壊れてしまうのを防ぐため。ただし、最近はパワーロスの影響を受けない電動タイプの登場、コンプレッサー自体の耐久性向上、高負荷時に圧縮の停止機能など、昔の常識が当てはまらないケースもある。とはいえパワーロスになるのは間違いないし、精神的にもカットしたほうが安心かもしれない。

 対策として聞くのはタイヤを温める最初の1~2周はオン、いざアクセル全開でタイムアタックとなったらオフ、そしてクーリングラップで再びオン。中~上級者なら分かることだけど、長時間ダラダラと走ってもタイムは出ないし、ムダにタイヤやガソリンを減らすだけ。2~3周アタックしたら身体と頭とクルマのを冷やしつつ、ライン取りなどを改めて考え再アタックに備えてみよう。

 要はエアコンと同時にドライバーのスイッチもオン/オフするってこと。どうしてもエアコンを使いたいならば、オイルメーカーなどから販売されている、エアコンガスの添加剤がオススメ。「エアコン使用時のパワーロスや燃費悪化を軽減」を謳い文句としており、ガス漏れ防止や冷却効果アップなどのメリットもある。

 最後にもっと基本的な「窓を開けて走れば問題ないのでは?」という疑問について。後部や同乗者がいないときの助手席は別として、サーキットでは安全のために窓を閉めて走行しなければならない。なので適度にクーリングしながらエアコンを使う、というのがもっとも現実味のある解決策ではないだろうか。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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