自動車免許返納のタイミングは?高齢ドライバーの運転を見極める5つのポイント

自動車免許返納のタイミングは?高齢ドライバーの運転を見極める5つのポイント

事故はある日突然ではない!必ず予兆はある

 高齢ドライバーの自動車免許返納がメディアで取り上げられている。だが、返納するタイミングはなかなか本人では判断できないのが実状だろう。周囲の人によって高齢ドライバーのクルマや運転などから状態を見て取り、返納を勧めるのも正しい選択だ。免許返納を勧めるべき事象をピックアップしてみた。

 何者かに背後からはがいじめにされ、足首を掴まれながら引きずって歩く……。

 これはホラー映画のワンシーンなどではない。40代の私が「高齢者擬似体験セット」なるものを身体に装着して歩いた時の感想だ。椅子から立ち上がろうとした途端によろめき、杖をつかずに歩くのが不安になった。これは自分で歩行や階段の昇降ができる、一般的な高齢者を想定した装備だというが、それでもこれほどの動きにくさ、反応の悪さが出てしまうのかと驚いた。これでは若い頃と同じように運転するなど、おそらく不可能に近いだろう。

 ただ、こうした「老い」はゆるやかな変化としてやってくるため、自分自身ではなかなか認識しにくいものかもしれない。「気をつけていれば、まだ大丈夫だろう」と思いながら運転を続けていると、ある日突然事故を起こしてしまったように思えるが、客観的に見れば、実はそのずっと以前から危険運転の予兆は現れていたはずだ。

 そこで今回は、娘や息子、孫の視点から、高齢者となった両親もしくは祖父母の運転に危険な兆候があるかどうか、「これがあったら免許返納をすすめるべき」というチェックポイントを挙げていこう。ちなみに認知機能の低下が見られる場合はどんな事情があっても免許返納すべきなので、ここではそのチェック項目ははずしておく。

車体の擦りキズや凹みが増えている

 まず、対象となる高齢者が運転するクルマをくるりと一周見てまわり、以前よりも「擦り傷や小さな凹みが増えている」と感じたら、これは危険信号だ。本人は「ちょっと擦っただけで済んでよかった」と思っているかもしれないが、これは確実に運転技能が劣ってきている証拠。小さな事故は大きな事故の予兆と言って間違いない。さらに「この傷はどこでつけたのか?」と聞いてみよう。もし覚えていないようなら、ますます危ないと思った方が良い。

信号無視や一時停止の標識を見落とす

 高齢者になると視力の低下だけでなく視野そのものが狭くなり、それによって運転に支障をきたす場面が多くなるので、「一時停止などの標識を見逃す、信号無視をする」などが見られる場合は危険信号。歩行者や自転車がいたことに気がついていない場合も同様だ。助手席に同乗するなどして確認してほしい。

車庫入れが時間がかかり枠からはみ出す

「以前より車庫入れに時間がかかるようになった」というのも危険信号。高齢者の視野では、左右の確認やバックミラー、振り返ってリアウインドウを見た時に目に入る範囲が狭くなってしまうため、何度も切り返して様子を見たり、恐る恐るバックしたり、といった自信のない操作になってしまう。そうして四苦八苦して駐車したあげく、白線からはみ出す、大きく曲がっている、などがあればかなり要注意である。

急発進・急減速と運転が荒っぽくなった

 高齢者は「足の内旋角度」といって、股関節とかかとを軸に足を回転できる角度が若い頃より10度近く悪くなってしまうことが確認されている。これは運転中に私たちが無意識に使っている動きで、その機能低下が近年増えている「ペダルの踏み間違い」の大きな原因でもある。

 高齢者擬似体験セットを装着して試したところ、アクセルとブレーキの踏み換えに要する時間が、普段より1秒近く遅れてしまうと実感した。そのため、余裕を持って踏み換えてジワリとアクセルを踏む、ブレーキを優しくコントロールしながら踏む、という微妙な操作がしにくくなるので、「最近、急発進や急ブレーキなど、運転が荒っぽくなってきたな」と感じたら危険信号だ。

高速道路で速度や車線内の位置が安定しない

 高速道路を走る時に、車線の中央を走ることができず、左右どちらかに不自然に寄ってしまう。これも高齢者に多い傾向にある。これは動態視力が落ちたり、スピード感に恐怖を感じたりすることで、何か目安として安心できるものが欲しくなり、どちらかの白線をたどって走ろうとするためではないかと思われる。もし、運転中に「右に(左に)寄ってるよ」と注意して中央を走るように促しても、少し時間が経つとまた右に(左に)寄っている、ということであれば危険度は高いはずだ。

 さらに高速道路では、「気がつくと自分が先頭を走っていて、後続車が連なっている、渋滞している」ということが多いのも危険信号。これは周囲の状況を把握できていない、もしくは無頓着になっているということで、サイドミラーやバックミラーをまったく見ていない可能性がある。

 また、アクセルペダルを踏む力が無意識のうちに弱くなり、スピードが落ちていることにも気がついていない、という可能性もあり、安全運転をする上ではよろしくない傾向だ。

 というわけで、自分の両親や祖父母の運転がもしこれらに当てはまるのであれば、いつ事故を起こしても不思議はないと思った方がいいだろう。何の罪もない犠牲者を出してしまってからでは遅い。取り返しのつかない事態になる前に、勇気を出して免許返納をすすめるべきである。


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