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トヨタ「静電気」を使った世界初の塗装技術を開発、従来式とは異なる仕組みとは

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TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: トヨタ

塗着効率を従来比25%以上アップ

 トヨタは、車体塗装工程で従来から使用しているエアスプレー式の塗装機に代わり、静電気を活用し空気を使わない「新型塗装機(エアレス塗装機)」を開発。エアレス塗装機は、塗着効率(噴霧した塗料に対して実際に車体に塗着する塗料の割合)を従来型の60%~70%程度から、世界最高の95%以上に向上できるという世界初となる新技術だ。

 従来のエアスプレー式の塗装機は、主に空気の力で塗料を微粒化し、微粒化した粒子を空気で車体に塗着(エアスプレー塗装)していた。このため、車体から跳ね返った空気によって塗料の粒子が吹き飛ばされるため、塗着効率は60~70%程度だった。 これに対して新型のエアレス塗装機は、電気で塗料を微粒化(静電微粒化)するとともに、静電気を帯びた粒子が車体に引き寄せられるように塗着(静電塗装)。静電微粒化および静電塗装の技術により、微粒化された粒子の飛び散る量を大幅に減少し、高い塗着効率を実現する。

 

塗料の吹き出し量を最適にする円筒型回転ヘッド

 静電微粒化技術は、極少量の液体を吹き出す美容器具などで用いられており、それを車体塗装に応用したもの。具体的には、塗装機の先端にある塗料の吹き出し口を円筒型にし、その先端に約600本の特殊な溝を装備。円筒型ヘッドの回転で生じる遠心力により、塗料を溝に流れ込ませた上で静電微粒化。微粒化された塗料の粒子を、静電気で車体に塗着させるという技術だ。 ただし、車体の凹凸により円筒型ヘッドと車体の距離が変動すると、電流が不安定となるというデメリットもある。トヨタが開発したエアレス塗装機は、電流のばらつきを常時監視。電圧を自動に制御することで、円筒型ヘッドと車体の距離を常に約10cmに保ちながら、一定の電流で静電微粒化と静電塗装ができるようになっている。これにより、塗料粒子の大きさのばらつきを回避させて高品質な塗装を実現するのだ。

 

CO2ゼロチャレンジを達成を目指し開発

 エアレス塗装機の導入により、トヨタグループの塗装工程におけるCO2排出量を7%程度削減できる見込みだという。さらに、塗装ブースの下部にある未塗着塗料の回収装置を小型化することで、今後は塗装ラインのコンパクト化も可能となるそうだ。

 トヨタは2015年に公表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の一つとして、「工場CO2ゼロチャレンジ」の実現に向けた取り組みを進めており、その一環としてエアレス塗装機を開発。まず、高岡工場と堤工場に導入を完了し、今後は他工場へ順次展開するとともに、トヨタグループ会社での導入やグループ外への技術供与も検討しているという。

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