車検の問題も要因の一つに挙げられる
かつてはスポーツカーのチューニングでもてはやされ、チューニングカーはもちろん、純正のスポーツモデルにも多く採用されてきた大型リアウイング。中でも代表的なデザインであるGTウイングにいたっては近年は取り付けている車両も減り、なんだか一時の盛り上がりは見られないのが現状だ。
今回は大型ウイングの現状やトレンドについて紹介していくこととした。ナビゲーターとしてお願いしたのは、ブリッツの小林さん。自社でもGTウイングをリリースし、スポーツ系のパーツトレンドの変遷や現在のニーズについても詳しいキーパーソンだ。
そもそもスポーツスタイルの象徴的アイテムだった大型のリアウイングはどのようにしてスポーツカーシーンでもてはやされるようになったのだろう。諸説あるのだが、特にGTウイングについては’90年代から始まった全日本GT選手権がきっかけになっているようだ。
「GTカーのレースシーンで使われている巨大なウイングがカッコいい!」そんな憧れを愛車にフィードバックしたいというユーザーが’90年代には続々と現れた。 ウイング面とステーが一体になっている形状のエアスポイラーは純正車両でも見られるが、GTウイングを求める多くのユーザーは「純正と同じは嫌」という思いが強い。
一気に車両のイメージを変えることができるGTウイングは、こうしてスポーツカーユーザー注目のアイテムとなっていったのだ。 しかもレースで用いるGTウイングは年々進化を遂げたのも一般ユーザーの心を引きつける。
2枚羽根化、翼面を膨らませた3D形状、さらには翼端版を設けた形状や、スロテッドフラップ形状の多段ウイングの登場、そしてスワンネックもその流れの中から生まれてきた形状だ。もちろんいずれもレーシングマシンがダウンフォースを効率良く稼ぎ出すための機能パーツとして開発されているのだが、ストリートユーザーにとってはドレスアップ的要素が強く、そのデザインを愛車にも取り入れたいという思いが強かった。
それだけに大型化やデザインにこだわったGTウイングが続々と登場した。 さらにGTウイングのもうひとつのトレンドが素材。当初はほとんどがFRP製だったが、カーボン素材を用いた軽量でデザイン性豊かなモデルが登場すると瞬く間にヒットする。
スポーツ系のユーザーは素材にもこだわるケースも多く、形状とともに大切なセレクトのポイントになっているようだ。 ブリッツでは現在は86、S660に対してGTウイングをラインアップ。スポーティなベース車が減っているのがGTウイングのランアップが限定的な理由のひとつだという。