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消えちゃいけなかった名車! 常に最先端技術の塊だった「日産セドグロ」の偉大なる足跡

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TEXT: 岩田部屋  PHOTO: 日産自動車

多くのユーザーに支持された55年の歩み

 ひと昔前は高級車=セダンというイメージだったが、ニーズの多様化が進む現代では高級志向のミニバンやSUVが増え、高級セダンの存在感が薄れつつあるのは少々寂しい。レクサスはLSやES、トヨタはクラウンと話題性のある新型セダンを市場に投入しているが、最近の日産はどうか。

 かつてのフラッグシップであり、ショーファードリブンでもあったプレジデントは10年前に生産を終えてその名が消滅。現在日産が販売している最上級セダンはシーマ、その次にフーガと続く。

 しかし現行型のシーマは2012年、フーガは2009年から改良を重ねながら生産を続けており、フルモデルチェンジの話も聞かない。日産にはもっと高級セダンに力を入れて欲しいと思うのだが、これも時代の流れなのだろうか。セドリック&グロリアの後継モデルとして据えられたフーガ

 しかし過去を振り返ると、日産には非常に長い歴史を持つ高級セダンが存在した。フーガの前身であるセドリックとグロリアである。セドリックは10代、グロリアは11代まで作られた由緒あるモデルで、今でもモデルごとにファンは多い。カスタマイズのベースにも重宝され、クラシカルなアメリカンからイカツいVIP系まで、各モデルにマッチするドレスアップスタイルがあったのだ。カスタマイズのベース車両としても人気だったセド&グロ

 そしてセドリック&グロリアにはハードトップ以外にセダンの設定もあり、Y31系は2014年まで生産された。パトカーやタクシー、教習車など「はたらくクルマ」にも採用され、街中でその姿を見た人も多いのではないだろうか。そんな多くの人たちに愛された名車に敬意を表し、そして日産の高級セダンのさらなる発展を願いつつ、改めてセドリック&グロリアの歴史を振り返りたいと思う。セドリック&グロリアは「はたらくクルマ」としても重宝された

初めはまったくの“別モノ”だったセドリックとグロリア

 セドリックとグロリアはコンポーネントを共有し、グリルやテールランプなどの意匠を変更した兄弟車のイメージが強い。しかしセドリックは日産から1960年に、一方グロリアは富士精密工業(後のプリンス自動車工業)から1959年に発売した、4ドアセダンという共通点はあるものの全く別モノのクルマだった。

 初代セドリックは日産初のモノコックボディを採用し、フロントガラスを湾曲させてサイドに回り込ませた「ラップアラウンドウインドウ」が特徴。4ドアセダンからスタートし、その後ワゴンとバンが追加された。「ラップアラウンドウインドウ」が特徴の初代セドリック

 一方、初代グロリアはひと足早く完成させた初代SI系スカイラインをベースに、内・外装の質感を高めた高級志向のセダンとして登場。

 その後グロリアは1962年に2代目へとフルモデルチェンジ。ボディ全体を走るモールの装飾から、「ハチマキグロリア」という愛称で親しまれた。この型は宮内庁への納入実績も多く、高級車というイメージが強く根付いた。セドリックは1965年に2代目の130系が登場。デザインはイタリアの名カロッツェリア、ピニンファリーナが担当。しかし1968年のマイナーチェンジではボディ形状を大幅に変え、スクエア感が強くなった。「ハチマキグロリア」の愛称で親しまれた2代目グロリア

 2代目セドリックはこのまま1971年まで生産されたのだが、グロリアはモデル末期の1966年にプリンス自動車工業が日産と合併したことで、車名が「日産プリンスグロリア」に変更。翌1967年に3代目のグロリア(A30系)がデビューし、車名は「プリンス」が取れてグロリアとなった。丸型のヘッドライトを縦2連で設置したアメリカンなスタイリングが特徴で、「タテグロ」という異名を持つ。

 後に同年代のキャデラックなどを意識したアメリカンカスタムのベースとして、若者の間で人気を集める。見た目は同時期に販売された2代目セドリックとは全く異なるが、エンジンや足まわりなど一部の部品はこの時点でセドリックと共有していた。 

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